[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第88回―「新規なメソポーラス材料の創製と応用」Dongyuan Zhao教授

[スポンサーリンク]

第88回の海外化学者インタビューは、Dongyuan Zhao教授です。復旦大学化学科に在籍し、マイクロ多孔性分子ふるいやメソ多孔性材料の新規合成・構築法の開発および特性・応用の追究に取り組んでいます。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

大学生の頃、さまざまな素晴らしい化学反応に非常に興味を持っていたので、暇な時間のほとんどを化学実験室で過ごしました。博士号の研究で、教授の提案によって分子ふるいの研究を始めました。その時、この道に進むきっかけとなった不思議な多孔質材料に惹かれました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

頭と手を使って発明・創造でき、アイデアを出したり、紙を描いたり、最終的なものを作ったりするプロセス全体を楽しめるような仕事が好きです。実際にもし化学者でなかったら、警官のような探偵業務をする夢がありました。自分自身に問いかけて、なぜそうなのかを理解するのが好きです。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

一般的には、ビジョンと能力という2つの観点があります。化学者は、より高い位置に立って、世界を俯瞰し、判断や予測をしなければなりません。それを実現する能力も求められます。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

世界最高の発明家であり私のアイドルでもある、エジソンでしょう。お互いのアイデアや意見、特にキャリアにおける失敗談を共有できたらと思います。私は彼と似ているでしょうか・・・

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

2007年に、FDU-15の量産化に向けて自ら取り組みました。長年にわたる実験室での小規模合成を経験し、今は新材料の大規模生産に傾倒しています。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

F・A・コットンとG・ウィルキンソンの著書『Advanced Inorganic Chemistry』は、孤独や悲しみからほど遠く、最高に幸せな時間を私にもたらしてくれるはずです。ドイツの偉大な作曲家ベートーベンの交響曲は、遭遇した困難に立ち向かい、克服しようと私を常に励ましてくれるでしょう。

[amazonjs asin=”4563041920″ locale=”JP” title=”無機化学〈上〉”]

原文:Reactions – Dongyuan Zhao

※このインタビューは2008年10月31日に公開されました。

 

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第169回―「両性分子を用いる有機合成法の開発」Andrei Y…
  2. 第36回「光で羽ばたく分子を活かした新技術の創出」齊藤尚平 准教…
  3. 第60回「挑戦と興奮のワイワイ・ワクワク研究センターで社会の未来…
  4. 第43回―「均質ナノ粒子の合成と生命医学・触媒への応用」Taeg…
  5. 第13回 化学を楽しみ、創薬に挑み続ける ―Derek Lowe…
  6. 第五回 超分子デバイスの開発 – J. Fraser…
  7. 第11回 有機エレクトロニクス、分子からデバイスまで ̵…
  8. 第143回―「単分子エレクトロニクスと化学センサーの研究」Non…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 私がケムステスタッフになったワケ(5)
  2. クリック反応の反応機構が覆される
  3. 武田薬品、高血圧治療剤が米で心不全の効能追加
  4. SDGsと化学: 元素循環からのアプローチ
  5. 第11回 野依フォーラム若手育成塾
  6. 第28回 錯体合成から人工イオンチャンネルへ – Peter Cragg教授
  7. 化学Webギャラリー@Flickr 【Part 3】
  8. ALSの新薬「ラジカット」試してます
  9. 荘司 長三 Osami Shoji
  10. 海外のインターンに参加してみよう

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年5月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

次世代の二次元物質 “遷移金属ダイカルコゲナイド”

ムーアの法則の限界と二次元半導体現代の半導体デバイス産業では、作製時の低コスト化や動作速度向上、…

日本化学連合シンポジウム 「海」- 化学はどこに向かうのか –

日本化学連合では、継続性のあるシリーズ型のシンポジウムの開催を企画していくことに…

【スポットライトリサーチ】汎用金属粉を使ってアンモニアが合成できたはなし

Tshozoです。 今回はおなじみ、東京大学大学院 西林研究室からの研究成果紹介(第652回スポ…

第11回 野依フォーラム若手育成塾

野依フォーラム若手育成塾について野依フォーラム若手育成塾では、国際企業に通用するリーダー…

第12回慶應有機化学若手シンポジウム

概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大学理工学部・…

新たな有用活性天然物はどのように見つけてくるのか~新規抗真菌剤mandimycinの発見~

こんにちは!熊葛です.天然物は複雑な構造と有用な活性を有することから多くの化学者を魅了し,創薬に貢献…

創薬懇話会2025 in 大津

日時2025年6月19日(木)~6月20日(金)宿泊型セミナー会場ホテル…

理研の研究者が考える未来のバイオ技術とは?

bergです。昨今、環境問題や資源問題の関心の高まりから人工酵素や微生物を利用した化学合成やバイオテ…

水を含み湿度に応答するラメラ構造ポリマー材料の開発

第651回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院工学研究科(大内研究室)の堀池優貴 さんにお願い…

第57回有機金属若手の会 夏の学校

案内:今年度も、有機金属若手の会夏の学校を2泊3日の合宿形式で開催します。有機金…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー