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海外化学者インタビュー

第72回―「タンパク質と融合させた高分子材料」Heather Maynard教授

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第72回の海外化学者インタビューは、ヘザー・メイナード教授です。カリフォルニア大学ロサンゼルス校化学・生化学科に所属し、ポリマーおよび表面へのタンパク質結合に関する研究と生物医学およびナノテクノロジーへの応用を行っています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

物事がどのように機能するかについて、常に興味があり、そしてパズルを解くのが好きでした。実際に幼い頃、植物の成長に最適な条件を決定しようと、太陽光や水滴といった異なる条件に植物を体系的にさらす実験を行いました。中学校で化学を学んだとき、この分野に興味を持ちました。12歳のとき、化学の教授になろうと決心しました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

動物保護の仕事をします。地球上の野生生物の多様性を、生息地の喪失や地球温暖化の影響から守ることに情熱を持っています。サンディエゴ野生動物公園のような場所で絶滅危惧種の遺伝学を学ぶのか、動物管理チームの現場で働くのかはわかりまsねn。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

命を救う薬から吸収性の高いおむつまで、私たちはすでに世界に大きな貢献をしています。化学者は今後も、代替エネルギー、世界の病気との闘い、飲料水の浄化など、社会に重要な役割を果たしていくと思います。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

ミケランジェロです。フレスコ画と絵の具の化学についてより一般的に論じている彼についての本をかつて読んだことがあります。フレスコ画がどのように作られていたのか、どのようにしてダビデ像を彫ることができたのか、どのようにしてプロポーションが遠目の鑑賞者からも正確なものにできたのかについて、心から話をしたく思っています。システィーナ礼拝堂の一部について、時間を節約するために、模写ではなく記憶をもとに両手で描いたのかを知りたいです。それに、おいしいイタリア料理も食べられると思います。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

約2年前です。スチレンを重合するためにタンパク質反応開始剤をつくりました。グループのメンバーはその研究を続け、一方または両方の末端で遊離システインおよびアルデヒドに結合するポリスチレンを合成しました。私たちは現在、疎水性薬物を送達するタンパク質ベースのナノカプセルを作るために、この開始剤の誘導体を調製しています。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

本は簡単です―私ならThe Norton Anthology of Poetryを選ぶでしょう。飽きることはありません。無人島にはハワイアンミュージックがぴったりなので、CDはそれにします。

 

原文:Reactions – Heather Maynard

※このインタビューは2008年7月11日に公開されました。

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cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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