[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第77回―「エネルギーと生物学に役立つ無機ナノ材料の創成」Catherine Murphy教授

[スポンサーリンク]

第77回の海外化学者インタビューは、キャサリン・マーフィー教授です。サウスカロライナ大学 化学・生化学科に所属(訳注:現所属はイリノイ大学 化学科)し、金属ナノ粒子の合成、光学特性の調査と応用に取り組んでいます。ナノスケールの構造やDNAのダイナミクスにも興味を持っています。それでは、インタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

小さい頃(6歳くらい)から、科学と自然が好きでした。幸いなことに、8年生(13歳)と高校(15歳)で素晴らしい化学の先生に恵まれました。高校の化学実験室は、生物学(生き物を殺しました)や物理学(退屈でした)より、はるかに面白かったです。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

アルバイトを二つしたことがあります。一つは庭師として外働き、もう一つはコーヒーショップ/本屋です。どちらも年間10万ドル以上の収入がありました(理想的な状況であればですが)。外でコーヒーを飲んだり本をたくさん読んだりするのが好きなので、これは完璧な組み合わせです。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

科学的に言うなら、私たちが扱う分子のスケールを、生物学、医学、環境といったより大きく複雑なシステムと結びつけることによってです。もちろん、大学初期に学生を興奮させたり、より多くの化学的知識を習得させるチャンスも持っています。多くの学生は、化学を専攻するわけではなく、単に化学を選択しなくてはなりません。未来の市民を教育し、現象の根拠を観察し、複数のテストに合格するための良い説明を考え出すことは、化学者や他の科学者が世の中一般にもたらしている良いことなのです。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

Julia Childです。彼女は愉快な人ですし、加えて素晴らしい食事を作ってくれるでしょう!

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

悲しいことに、何年も前のことです。助教授として化合物やDNAをHPLC精製していました。今でも研究室を一日おきに訪れ、大学の化学クラスで実演はしています。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

ダンテの「神曲」(ドロシー・セイヤーズ訳)と、K.D.ラングの「Hymns of the 49th Parallel」です。

[amazonjs asin=”4309205496″ locale=”JP” title=”神曲【完全版】”] [amazonjs asin=”B00061QVD8″ locale=”JP” title=”ヒムズ・オブ・ザ・フォーティーナインス・パラレル”]

原文:Reactions – Catherine Murphy

※このインタビューは2008年8月15日に公開されました。

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第129回―「環境汚染有機物質の運命を追跡する」Scott Ma…
  2. 第17回 音楽好き化学学生が選んだ道… Joshua…
  3. 第10回 ナノ構造/超分子を操る Jonathan Steed教…
  4. 第158回―「導電性・光学特性を備える超分子らせん材料の創製」N…
  5. 第八回 自己集合ペプチドシステム開発 -Shuguang Zha…
  6. 第42回―「ナノスケールの自己集積化学」David K. Smi…
  7. 第31回 ナノ材料の階層的組織化で新材料をつくる―Milo Sh…
  8. 第146回―「原子から社会までの課題を化学で解決する」中村栄一 …

注目情報

ピックアップ記事

  1. 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド : 1-(3-Dimethylaminopropyl)-3-ethylcarbodiimide
  2. 化学探偵Mr.キュリー6
  3. 天然の日焼け止め?
  4. 高機能性金属錯体が拓く触媒科学:革新的分子変換反応の創出をめざして
  5. 二刀流のホスフィン触媒によるアトロプ選択的合成法
  6. キムワイプをつくった会社 ~キンバリー・クラーク社について~
  7. カンプス キノリン合成 Camps Quinoline Synthesis
  8. リチャード・スモーリー Richard E. Smalley
  9. 第17回ケムステVシンポ『未来を拓く多彩な色素材料』を開催します!
  10. Arborisidineの初の全合成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年3月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

2024年の化学企業グローバル・トップ50

グローバル・トップ50をケムステニュースで取り上げるのは定番になっておりましたが、今年は忙しくて発表…

早稲田大学各務記念材料技術研究所「材研オープンセミナー」

早稲田大学各務記念材料技術研究所(以下材研)では、12月13日(金)に材研オープンセミナーを実施しま…

カーボンナノベルトを結晶溶媒で一直線に整列! – 超分子2層カーボンナノチューブの新しいボトムアップ合成へ –

第633回のスポットライトリサーチは、名古屋大学理学研究科有機化学グループで行われた成果で、井本 大…

第67回「1分子レベルの酵素活性を網羅的に解析し,疾患と関わる異常を見つける」小松徹 准教授

第67回目の研究者インタビューです! 今回は第49回ケムステVシンポ「触媒との掛け算で拡張・多様化す…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP