[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第39回「発光ナノ粒子を用いる生物イメージング」Frank van Veggel教授

[スポンサーリンク]

第39回の海外化学者インタビューは、フランク・ファン・ヴェッゲル教授です。カナダのブリティッシュ・コロンビア州にあるビクトリア大学化学科に所属しており、レーザー用発光ナノ粒子、光増幅、生物標識について取り組んでいます。MRI(磁気共鳴画像法)用ナノ粒子も開発されています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

オランダの高校で自然科学のすばらしい先生に教えてもらったのですが、一緒になってクレイジーな実験をしました。個々の分子を実際に見なくても分子をつくれるという事実になぜか私は魅せられていましたし、今もそうです。化学工学技士として訓練されましたが、化学パートが一番好きでした。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

ゲノミクスやプロテオミクスの分野で驚くべき革命が起こっていますが、その言一翼を担うような生化学者となることに、心底惹かれています。クォーターホースを育てるような化学は実に興味深いものです。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

学術的な観点からは、安全で優れた製品や医薬品をつくる次世代の化学者を育成し、環境負荷を最小限に抑える新たな技術を見つけることだと思います。例えば、私の研究では、より少ない(毒性の)材料でも患者の診断ができる磁気共鳴画像法(MRI)のための、より優れた、より強力な造影剤を作ろうとしています。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

ダーウィンです。なぜかって?彼の進化論の正しさは驚くべきことだからです。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

研究室の同僚1人の測定を補助する実験なら、数週間前にやったというのが答えです。私自身の手による実験なら、2005年夏が最後でした。そのときは、カナダのモントリオールにあるマギル大学のM.Andrews研究室で2ヶ月間働いていました。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

ちょっとだけズルをしますが、マカロフのローマ帝国に関する書籍6冊と、ギドン・クレーメル「ピアソラへのオマージュ」のCDを持っていきます。

原文:Reactions – Frank van Veggel

※このインタビューは2007年11月16日に公開されました。

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第92回―「金属錯体を結合形成触媒へ応用する」Rory Wate…
  2. 第七回 生命を化学する-非ワトソン・クリックの世界を覗く! ー杉…
  3. 第150回―「触媒反応機構を解明する計算化学」Jeremy Ha…
  4. 第139回―「超高速レーザを用いる光化学機構の解明」Greg S…
  5. 第32回「生きている動物内で生理活性分子を合成して治療する」田中…
  6. 第133回―「遺伝暗号リプログラミングと翻訳後修飾の研究」Jas…
  7. 第51回「電流でDNAを検出する」佐藤しのぶ准教授
  8. 第八回 自己集合ペプチドシステム開発 -Shuguang Zha…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 小林製薬、「神薬」2種類を今春刷新
  2. 研究倫理を問う入試問題?
  3. 【書籍】化学探偵Mr. キュリー
  4. アメリカで Ph. D. を取る –希望研究室にメールを送るの巻– (実践編)
  5. 「MI×データ科学」コース実施要綱~データ科学を利用した材料研究の新潮流~
  6. マンガでわかる かずのすけ式美肌化学のルール
  7. 金属イオン認識と配位子交換の順序を切替えるホスト分子
  8. 稲垣伸二 Shinji Inagaki
  9. クラベ アレン合成 Crabbe Allene Synthesis
  10. “click”の先に

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2019年12月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

分子は基板表面で「寝返り」をうつ!「一時停止」蒸着法で自発分極の制御自在

第613回のスポットライトリサーチは、千葉大学 石井久夫研究室の大原 正裕(おおはら まさひろ)さん…

GoodNotesに化学構造が書きやすいノートが新登場!その使用感はいかに?

みなさんは現在どのようなもので授業ノートを取っていますでしょうか。私が学生だったときには電子…

化学者のためのWordマクロ -Supporting Informationの作成作業効率化-

「化合物データの帰属チェックリスト、見やすいんですが、もっと使いやすくならないですか」ある日、ラ…

酢酸ウラニル(VI) –意外なところから見つかる放射性物質–

酢酸ウラニル(VI) (UO2(CH3COO)2·2H2O) はウラニル (二酸化ウ…

機械学習と計算化学を融合したデータ駆動的な反応選択性の解明

第612回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学 大学院理工学府(五東研究室)博士課程後期1年の坂…

超塩基配位子が助けてくれる!銅触媒による四級炭素の構築

銅触媒による三級アルキルハライドとアニリン類とのC–Cクロスカップリングが開発された。高い電子供与性…

先端領域に携わりたいという秘めた思い。考えてもいなかったスタートアップに叶う場があった

研究職としてキャリアを重ねている方々の中には、スタートアップは企業規模が小さく不安定だからといった理…

励起パラジウム触媒でケトンを還元!ケチルラジカルの新たな発生法と反応への応用

第 611 回のスポットライトリサーチは、(前) 乙卯研究所 博士研究員、(現) 北海道大学 化学反…

“マブ” “ナブ” “チニブ” とかのはなし

Tshozoです。件のことからお薬について相変わらず色々と調べているのですが、その中で薬の名…

【著者に聞いてみた!】なぜ川中一輝はNH2基を有する超原子価ヨウ素試薬を世界で初めて作れたのか!?

世界初のNH2基含有超原子価ヨウ素試薬開発の裏側を探った原著論文Amino-λ3-iodan…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP