[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第21回 バイオインフォ-マティクスによる創薬 – Heather Carlson

[スポンサーリンク]

久々の更新。間があいてしまって申し訳ござません。第21回目はミシガン大学アナーバー校、カレッジオブファーマシーのヘザー・カールソン教授です。カールソン教授は理論化学、タンパク質とその配位子間にある相互作用のコンピューターモデリングがご専門で、主にバイオインフォマティクス的アプローチによる分子認識の解明と、それを応用した創薬探索に取り組まれています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

高校の化学の先生が素晴らしい方で、多くのindependent study(=提示された課題を個人で学習/研究するスタイルのコース)に取り組む機会をくださいました。カレッジ時代の物理化学の先生もとても良い先生でしたね。元々数学と化学が大好きだったのですが、私はこれら2つの学問は全くの別物だと考えていました。その2つが一体となった理論化学を恩師に紹介され、そしてコロっと引っ掛かってしまいました。

 

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

もし自分に才能があったらの話ですけど、ROCK STAR!しかしそういう才能は持ちあわせておりませんので、たぶん統計学の研究者にでもなっていたかもしれません。大学院へ進む際に、統計学の道も考えていたのです。当時、統計学者にできることは実務だけでなく、情報学の分野を新たに開拓していくこともできると教わりました。今ではこうして少しだけ齧ることもできて幸せです…ロックスターの道ではなく、情報学を。

 

Q.概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

自身のフィールドの話ですが、私たちは異分野の研究者達と共にチーム一丸となって新たな医薬品となりうる分子を探索、開発しています。これは一つの、とても意味のある探求の姿だと思っています。

 

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

ハワード・ヒューズ(Howard Hughes)、ですね。彼は非常に才能豊かな人物で、また彼の精神的病を治療できる手段が無かったことが残念でなりません。同様の理由で、エイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)にも会ってみたいです。彼らは当時では不治の、徐々に人を弱らせていく病気を抱えながらも、大きな成功を成し遂げた人達ですから。

Howard Robard Hughes, Jr.

Howard Robard Hughes, Jr.

 

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

数ヶ月前、 de novo構造に基づくドラッグデザインをしました。よりよりHIV-1プロテアーゼ阻害剤の開発のために。学生がそのデザインを用いた動的シミュレーションを行っているのですが、ちょうど今その論文を書いているところです。

 

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

CDはU2の「The Joshua Tree」 か、the Black Crowesの 「Shake Your Moneymaker」です。古いですか?本は、家族のフォトアルバムを持っていきます。きっと夫と息子のことが恋しくてたまらなくなると思いますから。

[amazonjs asin=”B000001FS3″ locale=”JP” title=”Joshua Tree”] [amazonjs asin=”B003FX98XY” locale=”JP” title=”Shake Your Moneymaker”]

 

原文:Reactions – Glen Miller
※このインタビューは2007年7月13日に公開されたものです

Avatar photo

せきとも

投稿者の記事一覧

他人のお金で海外旅行もとい留学を重ね、現在カナダの某五大湖畔で院生。かつては専ら有機化学がテーマであったが、現在は有機無機ハイブリッドのシリカ材料を扱いつつ、高分子化学に

関連記事

  1. 第47回「目指すは究極の“物質使い”」前田和彦 准教授
  2. 第129回―「環境汚染有機物質の運命を追跡する」Scott Ma…
  3. 第62回「分子設計ペプチドで生命機能を制御する!!」―松浦和則 …
  4. 第34回 生物学と合成化学のハイブリッド高分子材料を開発する―J…
  5. 第84回―「トップ化学ジャーナルの編集者として」Anne Pic…
  6. 第165回―「光電変換へ応用可能な金属錯体の開発」Ed Cons…
  7. 第76回―「化学を広める雑誌編集者として」Neil Wither…
  8. 第10回 ナノ構造/超分子を操る Jonathan Steed教…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 第18回「化学の職人」を目指すー京都大学 笹森貴裕准教授
  2. ケムステイブニングミキサー2016を終えて
  3. フラーレンが水素化触媒に???
  4. 2つの異なるホウ素置換基が導入された非共役ジエンの触媒的合成と細胞死制御分子の形式合成に成功
  5. バートン反応 Barton Reaction
  6. 化学者のためのエレクトロニクス講座~無電解めっきの原理編~
  7. 根岸試薬(Cp2Zr) Negishi Reagent
  8. バルビエ・ウィーランド分解 Barbier-Wieland Degradation
  9. 人生、宇宙、命名の答え
  10. 【書籍】文系でも3時間でわかる 超有機化学入門: 研究者120年の熱狂

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年10月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

植物由来アルカロイドライブラリーから新たな不斉有機触媒の発見

第632回のスポットライトリサーチは、千葉大学大学院医学薬学府(中分子化学研究室)博士課程後期3年の…

MEDCHEM NEWS 33-4 号「創薬人育成事業の活動報告」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

第49回ケムステVシンポ「触媒との掛け算で拡張・多様化する化学」を開催します!

第49回ケムステVシンポの会告を致します。2年前(32回)・昨年(41回)に引き続き、今年も…

【日産化学】新卒採用情報(2026卒)

―研究で未来を創る。こんな世界にしたいと理想の姿を描き、実現のために必要なものをうみだす。…

硫黄と別れてもリンカーが束縛する!曲がったπ共役分子の構築

紫外光による脱硫反応を利用することで、本来は平面であるはずのペリレンビスイミド骨格を歪ませることに成…

有機合成化学協会誌2024年11月号:英文特集号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年11月号がオンライン公開されています。…

小型でも妥協なし!幅広い化合物をサチレーションフリーのELSDで検出

UV吸収のない化合物を精製する際、一定量でフラクションをすべて収集し、TLCで呈色試…

第48回ケムステVシンポ「ペプチド創薬のフロントランナーズ」を開催します!

いよいよ本年もあと僅かとなって参りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。冬…

3つのラジカルを自由自在!アルケンのアリール–アルキル化反応

アルケンの位置選択的なアリール–アルキル化反応が報告された。ラジカルソーティングを用いた三種類のラジ…

【日産化学 26卒/Zoomウェビナー配信!】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 キャリアマッチングLIVE

3日間で10領域の研究職社員がプレゼンテーション!日産化学の全研究領域を公開する、研…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP