[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第一回 人工分子マシンの合成に挑む-David Leigh教授-

[スポンサーリンク]

NatureChemistryが運営するブログ「The ScepticalChymist」との協賛により、研究者のインタビューコーナー”Reactions”の和訳版をお届けします。

第一回目は人工分子マシン・モーターの合成および評価を行っている、エジンバラ大学のDavid Leigh教授にお話を伺いました。

 

Q. あなたが化学者になった理由は?

大学で化学を勉強しているみんなや、素晴らしく熱心な先生たちが大好きだったからだよ。

 

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

もし何でもできる才能に恵まれてたらだけど(残念ながら厳しいけどね!)、首相やロックスター、フットボール選手かな。

 

Q.概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

今よりももっと良い世界にすることで、だね。公害やエネルギー不足、健康と生活維持なんかのように、地球規模での問題解決へと貢献できる新しい技術を導きだす―これが分かりやすい方法だね。そこまで明確ではない方法としては例えば、みんなの「世界の捉え方」をより良いものにしていくことが挙げられる。そうやって、社会と個人の隙間に存在する俗説や、宗教的な影響を取り除いていけば、安全な世の中が出来上がると思うんだ。

 

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

イエスかアインシュタインかなあ。理由はいっぱいあるよ。

 

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

去る2002年、一つのグループが長い合成ルートを経てようやく合成してきた化合物に、私はとても興奮してたんだ。それが金曜の夜だったね。化合物のNMRを見るのを待ちきれ無かったんだ。それで、やってる研究員に何も尋ねず反応を止めてしまって、土日まるまる使ってカラムクロマトグラフィで単離しようとしたんだ。その後は言わずもがな・・・私じゃ取ってこれなかった。週末を使って6本カラムをやったけど、あとには何も残らなかったよ・・・。担当してたジェニー・ウォン、ありがたい事に彼女は(少なくとも私の前では)何も愚痴らず、また一から15工程の合成をやったのさ(この時ばかりはさすがに、私に何にも知らせず最後の反応をかけたみたいだけどね)。

Flash8

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

ロベルト・ジョビーの”カード・カレッジ”だね。ようやく勉強する時間が取れるね!(編注:Leigh教授は化学者ですが、マジシャンでもあります。) あとは80年代のエルヴィス・コステロのライブ・ブートレッグかな。

[amazonjs asin=”4490204140″ locale=”JP” title=”ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ〈第1巻〉”]

ありがとうございました。

原文: Reactions – David Leigh
(このインタビューはThe ScepticalChymistによって行われたものであり、日本語での翻訳許可を得て掲載しています。2007年2月23日時点での情報であり、現状とは異なる点があり得ることをご了承ください。)
Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 第96回―「発光機能を示す超分子・ナノマテリアル」Luisa D…
  2. 第145回―「ランタニド・アクチニド化合物の合成と分光学研究」C…
  3. 第36回 生体を模倣する化学― Simon Webb教授
  4. 第31回 ナノ材料の階層的組織化で新材料をつくる―Milo Sh…
  5. 第六回 電子回路を合成するー寺尾潤准教授
  6. 第83回―「新たな電池材料のモデリングと固体化学」Saiful …
  7. 第137回―「リンや硫黄を含む化合物の不斉合成法を開発する」St…
  8. 第30回「化学研究の成果とワクワク感を子供たちにも伝えたい」 玉…

注目情報

ピックアップ記事

  1. ウルマンエーテル合成 Ullmann Ether Synthesis
  2. 光化学フロンティア:未来材料を生む有機光化学の基礎
  3. ポリセオナミド :海綿由来の天然物の生合成
  4. 第18回次世代を担う有機化学シンポジウム
  5. アセタール系保護基 Acetal Protective Group
  6. レドックス反応場の論理的設計に向けて:酸化電位ギャップ(ΔEox)で基質の反応性を見積もる
  7. 荒木飛呂彦のイラストがCell誌の表紙を飾る
  8. 向かい合わせになったフェノールが織りなす働き
  9. グリニャール反応 Grignard Reaction
  10. 元素のふしぎ展に行ってきました

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年5月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

野々山 貴行 Takayuki NONOYAMA

野々山 貴行 (NONOYAMA Takayuki)は、高分子材料科学、ゲル、ソフトマテリアル、ソフ…

城﨑 由紀 Yuki SHIROSAKI

城﨑 由紀(Yuki SHIROSAKI)は、生体無機材料を専門とする日本の化学者である。2025年…

中村 真紀 Maki NAKAMURA

中村真紀(Maki NAKAMURA 産業技術総合研究所)は、日本の化学者である。産業技術総合研究所…

フッ素が実現する高効率なレアメタルフリー水電解酸素生成触媒

第638回のスポットライトリサーチは、東京工業大学(現 東京科学大学) 理学院化学系 (前田研究室)…

【四国化成ホールディングス】新卒採用情報(2026卒)

◆求める人財像:『使命感にあふれ、自ら考え挑戦する人財』私たちが社員に求めるのは、「独創力」…

マイクロ波に少しでもご興味のある方へ まるっとマイクロ波セミナー 〜マイクロ波技術の基本からできることまで〜

プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーとして注目されている、電子レンジでおなじみの”マイクロ…

世界の技術進歩を支える四国化成の「独創力」

「独創力」を体現する四国化成の研究開発四国化成の開発部隊は、長年蓄積してきた有機…

四国化成ってどんな会社?

私たち四国化成ホールディングス株式会社は、企業理念「独創力」を掲げ、「有機合成技術」…

アザボリンはニ度異性化するっ!

1,2-アザボリンの光異性化により、ホウ素・窒素原子を含むベンズバレンの合成が達成された。本異性化は…

マティアス・クリストマン Mathias Christmann

マティアス・クリストマン(Mathias Christmann, 1972年10…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー