第60回目の研究者インタビューです! 今回は第39回ケムステVシンポ「AIが拓く材料科学の最前線」の講演者の一人、産業技術総合研究所の畠 賢治(はた けんじ) ナノカーボンデバイス研究センター長にお願いしました。
多大な功績を挙げられている畠先生のスタンスを感じられるインタビューで、8月8日に開催されるVシンポでお話をうかがえるのが大変楽しみです!
みなさんも、是非これを機にAIと材料科学の最先端を感じてみてください! 登録ページに直接飛びたい方は こちらの登録ページリンク にどうぞ!
それではインタビューをどうぞご覧ください!
Q. あなたが化学者になった理由は?
私は実は化学者ではなく、物理学者です。本当は宇宙の真理を解明したくて物理屋を志望していましたが、東大の進路振り分けで理物に進めず、物理工学へ。工学がつきました。つくば大学、ハーバード大学でウロウロしている間に、いつのまにか、カーボンナノチューブを発見した飯島澄男博士の下で、カーボンナノチューブの研究に従事することに。気づいたら周囲は化学者だらけになりました。正直化学者の言っていることは分からないのですが、それでも仕事はできるので、世の中不思議なものです。
Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?
研究者以外の希望はございません。もっと素晴らしい研究者になりたいです。
Q. 現在、どんな研究をしていますか?また、どのように展開していきたいですか?
いつも新しいことに挑戦しています。表面化学で博士を取った後、分野をナノテクに変えて、単層カーボンナノチューブの画期的な合成手法のスーパーグロース法を2004年に開発し、量産技術、合成技術に従事しました。そこから、様々な用途を開発してきました。今は、マルチモーダルAI技術や、カーボンナノチューブを用いた不揮発性メモリの開発等で、新しい分野にチャレンジしています
Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?
ゴータマシッダッタ(お釈迦様)。彼が体験・経験した世界について教えてもらいたい
Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?
38才の時に、CNTの全自動合成装置を組み立てました。その直後に国家プロジェクトがはじまり、現場から引き離され、気づいたら、自分のピンセットもない状況になりました。
Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。
瞑想するので、本も音楽も必要ありません。
関連リンク
*本インタビューは2023年7月に行われたものです