第59回目の研究者インタビューです! 今回は第36回ケムステVシンポ「光化学最前線2023」の講演者の一人、北海道大学の長谷川 靖哉 (はせがわ やすちか)先生にお願いしました。専門は高分子化学・錯体化学で、特に希土類元素を利用した新規光材料の創生で活躍されております。
楽しそうに答えられているインタビューで、長谷川先生の活力の源泉が垣間見られました。長谷川先生のご講演を聞いてみたくなった方は、第36回Vシンポにも是非登録して光化学の最先端に触れてみてください! 登録ページに直接飛びたい方は こちらの登録ページリンク にどうぞ!
それではインタビューをどうぞご覧ください!
Q. あなたが化学者になった理由は?
小学校の頃からエジソンやノーベルに憧れていて、将来は理科系に行きたいと思っていました。宇宙の話も大好きで、サイエンス雑誌などを愛読しています。私はいわゆる「科学オタク」です。高校で分子の世界を初めて勉強し、分子を自由にあやつる化学という学問に感動しました。高校での分子(特に六角形のベンゼン分子)との出会いが化学者を目指すきっかけとなりました。私は化学大好き人間です。博物館などに売っている化学グッズも集めています。
Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?
私の趣味は読書で、国内外の小説や啓発書をよく読みます(1年間に150冊くらい)。理化学書やマンガも集めています。もし化学者でなかったら、小説家に興味があります。量子化学に基づいたハードS F小説を書いてみたいですね。海外では、理系教授や研究者執筆のS F小説が人気です。マニアックな話が多いのですが。。。化学の新書みたいなものは書いたことがあります。
[amazonjs asin=”4873266165″ locale=”JP” title=”世界を底から変える力”]Q. 現在、どんな研究をしていますか?また、どのように展開していきたいですか?
希土類特有の4f軌道の光機能はまだ不明な部分が多いです。この謎を解明して、新しい光機能へと展開する研究を行っています。特に、最近は希土類錯体の円偏光発光機能に注目しています。円偏光発光を用いた未来の三次元ディスプレイや高度セキュリティインクへの展開が現在期待されています。私はこの円偏光発光に面白い物理化学が潜んでいると思っています。今後も学生さん達と一緒に希土類発光の謎解明と機能化を行い、希土類科学の楽しさを広めていきたいです。
Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?
近年の小説家も歴史上の人物とするのでしたら、S F小説「2001年宇宙の旅」で有名なアーサー・C・クラークさんと夕食を共にしてみたいです。クラークさんの小説は宇宙に旅立つ夢や未来への希望が満ち溢れています。クラークさんと未来の科学についてゆっくり語りたいですね。私はクラークさんが執筆・企画した書籍を集めています(かなりたくさんあります)。
[amazonjs asin=”B00DZC067C” locale=”JP” title=”2001年宇宙の旅〔決定版〕”]実在人物でなければ、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でタイムマシーンを発明するエメット・ブラウン博士(通称ドク)と夕食を共にしてみたいです。この人とも科学の未来を一緒に語りたいですね。
[amazonjs asin=”B00G9TNFIA” locale=”JP” title=”バック・トゥ・ザ・フューチャー (字幕版)”]Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?
2022年の12月に学生さんの合成した希土類発光体の発光寿命を測定しました。ナノ秒レーザーを使った寿命解析システムが壊れて学生さんが困っていたので、私がレーザーの光学系を調整してオシロスコープを動かし、発光寿命測定を行いました。久しぶりの実験は楽しかった!学生さんが実験で困ったときは、いつでも私を頼って欲しいです。
Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。
面白い設問ですね。一冊の本に限定されるのなら(そして繰り返して読むのなら)、私が選択する本はスティーブン・R・コビーさんの名著「7つの習慣」です。この本を初めて読んだのは大学生の時でした。とてもわかりやすい自己啓発本で、ラストページの解説が特に気に入っています(不思議な気持ちになります)。自分への浸透を再確認するため、この本を毎年必ず読んでいます。マンガや姉妹書もたくさん出版されていますが、オリジナルの著書(日本語訳)が一番良いですね。超オススメの本ですよ。
[amazonjs asin=”B00KFB5DJC” locale=”JP” title=”完訳 7つの習慣 人格主義の回復: Powerful Lessons in Personal Change”]Q. 次にインタビューをして欲しい人を紹介してください。
東京大学の石井和之先生は学生の頃からの友人で、一緒に光化学の世界を探究してきた仲間のうちの一人です。面白いお話が聞けるかもしれませんね。
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*本インタビューは2023年1月に行われたものです