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日本人化学者インタビュー

第51回「電流でDNAを検出する」佐藤しのぶ准教授

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第51回のインタビューは、九州工業大学の佐藤しのぶ准教授にお願いいたしました。前回同様、第23回ケムステVシンポの講師です。

所属されている竹中研究室で進められているバイオセンシングシステムの中で、電気化学的DNA検出を担当し、その専門家として活躍されています。テロメラーゼがDNAを伸ばす機能に着目し、電気化学DNAチップでテロメラーゼを簡単に検出する方法を開発し、その検出キットの実用化を目指しています。そんな佐藤先生の化学者になった理由からお聞きしたいと思います。

それではどうぞ!

Q1. あなたが化学者になった理由は?

高校生の頃に遺伝子治療が日本でも始まるというニュースを見て、遺伝子に興味を持ちました。大学進学では遺伝子に関する研究を行っている研究室のある学科を探し、九州大学工学部物質工学系応用化学コースに進みました。研究室配属では実際にDNAセンサに関する研究をされていた高木誠教授、竹中繁織助教授の研究室に配属され、念願のDNAセンサに関する研究を行うことになりました。この研究が非常に楽しく、この研究をこのまま続けたいと思っていたら、化学者になっていました。

 

Q2. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

システムエンジニアや電機メーカーのエンジニアになりたかったです。高校生の頃からパソコンを組み立てたいと思っていました。大学の友人に詳しい人がいたので、友人に教わったり、パソコン雑誌を読みながら、自分でパソコンパーツを購入し、組み立てるという操作をやったり、研究室のサーバー構築行っていました。

 

Q3. 概して化学者はどのようにして世界に貢献できますか?

Covid-19の流行で、新しいウイルスや変異したウイルスの正確で迅速な診断がどれほど必要されているかが分かりました。化学者として、現在まだ収束しないCovid-19の迅速な診断方法や今後も起こるであろう新たな感染症にも対応可能な正確な診断システムを確立したいです。それにより、感染症と共存できるような社会となるよう貢献したいと思っています。

 

Q4. あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

厩戸王(聖徳太子)。大変多くの実績あり、それらはどのように構築され、処理されていたのか、大変興味があります。複数の人から同時に話しかけられ、それに対応している状況も横から見ていたいです。

 

Q5. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

現在も研究室で実験を行っています。現在、私たちの研究室で作ったDNA検出試薬 FNDによる電気化学的遺伝子検出の研究を進めています。やはり、自分で手を動かし、実験をするのは楽しいですし、期待通りの結果が得られると嬉しいです。

 

Q6. もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

荻原規子「空色勾玉」。中学生のころに読んだ児童文学ですが、いまでも好きな作家さんで、新作がでると購入します。砂漠の島でも児童文学を読んで、全く異なる想像の世界に浸りたいです。

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Q7. 次にインタビューをして欲しい人を紹介してください。

繁富(栗林) 香織先生(北海道大学)。「細胞折紙」による新たな医用材料を研究されています。

 

研究者の略歴

名前:佐藤しのぶ

所属: 九州工業大学工学研究院物質工学研究系

専門: バイオ分析化学

略歴:

2000年3月 九州大学工学部 卒業
2002年3月 九州大学大学院工学府 修士課程 修了
2002年4月 日本学術振興会 特別研究員(DC1、~2005年3月)
2005年3月 九州大学大学院工学府 博士課程 修了
2005年4月 日本学術振興会 特別研究員(PD、~2008年3月)
2008年4月 九州工業大学バイオマイクロセンシング技術研究センター 助教
2010年4月 九州工業大学バイオマイクロセンシング技術研究センター 研究職員
2011年6月 九州工業大学工学研究院物質工学研究系 助教
2012年11月 九州工業大学工学研究院物質工学研究系 准教授

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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