[スポンサーリンク]

日本人化学者インタビュー

第43回「はっ!」と気づいたときの喜びを味わい続けたい – 高橋 雅英 教授

[スポンサーリンク]

第43回目の研究者インタビューです! 今回は第8回ケムステVシンポの講演者の一人、大阪府立大学の高橋 雅英 先生にお願いしました。専門は無機合成化学で、有機無機ハイブリッド材料などの広く研究されていて様々な「かしこい」材料を報告されています(興味がある方はデータベース記事もご参照ください)。

インタビュー中にも少し言及がありますが、性質の異なる有機材料と無機材料、それらを合わせることで拓かれる可能性は無限大ですね。高橋先生の研究哲学が垣間見られるインタビューでした。8/28に開催されるVシンポで直接お話をうかがえるのが一層楽しみになりました!
異分野の研究も気軽に覗けるのがVシンポの最大の利点、これを機に有機無機ハイブリッドのフロンティアに触れてみませんか? 登録ページに直接飛びたい方は こちらの登録ページリンク にどうぞ!

それではインタビューをどうぞご覧ください!

Q. あなたが化学者になった理由は?

大学受験の時は,薬学に興味があって薬学部を目指して勉強してたんですが、いろいろあって理学部の化学科に入学しました。薬学がやりたかったこともあり、学生時代はずっと有機化学を一生懸命勉強してました。ところが、研究室配属するという時に,直前にやった無機の学生実験が面白くて、無機化学の研究室に進んでしまったんです。そこでいろんな無機材料の研究をしているうちに、合成した物質でびっくりするような機能が発現したり、何故そうなるのかが解ったときの快感が気持ちよくて、ずっと研究を続けて今に至ります

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

料理するのも好きで、何かを混ぜてChemistryを起こすのが好きなので、やっぱり科学者になりたいですね。それ以外だと、もし才能があったら,芸術家とか音楽家に憧れます。特にロック系の音楽が好きなので、年取っても髪の毛を伸ばしてかっこよく生きられれば楽しいかなと思います。

Q. 現在、どんな研究をしていますか?また、どのように展開していきたいですか?

ゾルーゲル法に代表される溶液プロセッシングを用いて、機能性材料の合成を行っています。最近は、有機物と無機物の界面を分子レベルで設計して機能を創出することを中心に進めています。例えば、材料内部に化学的あるいは物理的な傾斜(化学組成でも、孔のような空間でも、分子量であっても何でも良い)を凍結してやることで、応答性を付与することができます。熱とか光に応答して,形や物性が変化する応答性ハイブリッド材料を中心に研究を進めています。溶液プロセスは非平衡状態を凍結することもできるので、いろいろプロセスを工夫するのが楽しいです。また、無機の結晶表面で分子をうまく並べることにも興味を持って取り組んでいます。無機/有機のエピタキシャル界面を形成することで、無機結晶の周期性を有機物側に転写することによる機能性の開拓にも取り組んでいます。この研究の中で、世界に先駆けて金属有機構造体薄膜のエピタキシャル成長にも成功しています。無機結晶の表面で、有機物や錯体の方位と間隔が制御できるので、ユニークな応答性も創出できると期待しています。
近年では、材料や物質と人間の距離が近くなってきていると思うので、溶液プロセスを通した応答性有機−無機ハイブリッド材料による、人に優しいヒューマンインターフェースを有する高機能材料へと発展させられれば良いなと思っています。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

レオナルド・ダビンチと晩飯食べたいです。芸術から科学に渡るあらゆる分野で独創的な成果を残している才能はすごいという言葉では表せないくらいすごいと思います。ダビンチがご飯食べてるときに,「おいしい」とか感じてるのかなとかくだらないことに興味があります。僕が見えている世界とは違う風景が、ダビンチには見えてるのかなとか思ってます。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

自分で立案して結果までという実験は数年単位でやっていません。ラボで手を動かしたのは、1年ほど前に学生と屈折率測定したのが最後です。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

砂漠の島はなかなか厳しいですね。気分をあげたいので、「いきものがかり」のベスト盤でも聞きながら、「さてこれからどうするか」を考えましょうか。

[amazonjs asin=”B0040IN3OI” locale=”JP” title=”いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~”]

Q. 次にインタビューをして欲しい人を紹介してください。

京都大学iCEMSの古川修平教授、早稲田大学の黒田一幸教授、名古屋大学IMASSの長田実教授のお話は聞いてみたいです。

関連リンク

高橋教授の略歴

平成8年(1996年)3月31日 博士(理学)学位取得 (神戸大学大学院自然科学研究科物質科学専攻)
学位論文題目「Optical properties and structure of rare-earth-doped fluoride glasses」
平成5年(1993年)4月1日 ミノルタカメラ(株)光技術部 研究員
平成8年(1996年)4月1日 豊田工業大学大学院工学研究科 博士研究員
平成9年(1997年)5月1日 神戸大学ベンチャービジネスラボラトリー 講師(中核的研究機関研究員)
平成10年(1998年)4月1日 京都大学化学研究所 助手
平成15年(2003年)9月1日 京都大学化学研究所 助教授
平成19年(2007年)4月1日  京都大学化学研究所 准教授
平成21年(2009年)4月1日 大阪府立大学大学院工学研究科 教授(現職)
平成24年(2012年)4月1日  大阪府立大学21世紀科学研究機構
ナノメソ材料国際共同研究所 所長(兼任)

*本インタビューは2020年8月に行われたものです

spectol21

投稿者の記事一覧

ニューヨークでポスドクやってました。今は旧帝大JKJ。専門は超高速レーザー分光で、分子集合体の電子ダイナミクスや、有機固体と無機固体の境界、化学反応の実時間観測に特に興味を持っています。

関連記事

  1. 第47回―「ロタキサン・カテナン・クラウンエーテルの超分子化学」…
  2. 第81回―「均一系高分子重合触媒と生分解性ポリマーの開発」奥田 …
  3. 第21回 バイオインフォ-マティクスによる創薬 – …
  4. 第51回―「超分子化学で生物学と材料科学の境界を切り拓く」Car…
  5. 第98回―「極限環境における高分子化学」Graeme Georg…
  6. 第52回「薬として働く人工核酸を有機化学的に創製する」和田 猛教…
  7. 第126回―「分子アセンブリによって複雑化合物へとアプローチする…
  8. 第76回―「化学を広める雑誌編集者として」Neil Wither…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 第132回―「遷移金属触媒における超分子的アプローチ」Joost Reek教授
  2. SNS予想で盛り上がれ!2020年ノーベル化学賞は誰の手に?
  3. 【速報】2018年ノーベル化学賞は「進化分子工学研究への貢献」に!
  4. 一般人と化学者で意味が通じなくなる言葉
  5. 研究者×Sigma-Aldrichコラボ試薬 のポータルサイト
  6. ジャン=マリー・レーン Jean-Marie Lehn
  7. 科学部をもっと増やそうよ
  8. ピバロイルクロリド:Pivaloyl Chloride
  9. ワインレブケトン合成 Weinreb ketone synthesis
  10. ベンゼン環記法マニアックス

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年8月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

理研の研究者が考える未来のバイオ技術とは?

bergです。昨今、環境問題や資源問題の関心の高まりから人工酵素や微生物を利用した化学合成やバイオテ…

水を含み湿度に応答するラメラ構造ポリマー材料の開発

第651回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院工学研究科(大内研究室)の堀池優貴 さんにお願い…

第57回有機金属若手の会 夏の学校

案内:今年度も、有機金属若手の会夏の学校を2泊3日の合宿形式で開催します。有機金…

高用量ビタミンB12がALSに治療効果を発揮する。しかし流通問題も。

2024年11月20日、エーザイ株式会社は、筋萎縮性側索硬化症用剤「ロゼバラミン…

第23回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

持続可能な社会の実現に向けて、太陽電池は太陽光発電における中心的な要素として注目…

有機合成化学協会誌2025年3月号:チェーンウォーキング・カルコゲン結合・有機電解反応・ロタキサン・配位重合

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年3月号がオンラインで公開されています!…

CIPイノベーション共創プログラム「未来の医療を支えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第105春季年会(2025)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「未来の医療…

OIST Science Challenge 2025 に参加しました

2025年3月15日から22日にかけて沖縄科学技術大学院大学 (OIST) にて開催された Scie…

ペーパークラフトで MOFをつくる

第650回のスポットライトリサーチには、化学コミュニケーション賞2024を受賞された、岡山理科大学 …

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー