元素を使いこなす―夢化合物の合成から環境に優しい合成反応の開発まで―
8月14日の読売新聞関西版に京都大学化学研究所の時任宣博所長、中村正治教授のインタビューが掲載されていました。以下一部抜粋。
Q:有機化学で新物質ができるが、知的財産はどのように確保しているのか。
A:本当はすべて特許を取るべきだが、純粋に学問的に取り組んでいるので、特に特許は取っていない。一部で企業が「サンプルがほしい」という事例はある。
Q:産業構造の変化や産出国の事情で、例えばパラジウムを入手しなくなると、研究もできなくなるのでは。
A:パラジウムが最も使われているのは排ガス処理。仮に電気自動車ばかりになると、排ガス処理は必要なくなる。将来、パラジウムの使い道がなくなり、新たな使用方法を調べる研究が進むのではないか。
日本の科学技術は人類社会のためにある
理化学研究所理事長の野依良治氏のインタビューがマイコミジャーナルで7月10日紹介されていました。以下一部抜粋。
──科学(自然科学)とは、また科学が社会に果たす役割とは何でしょうか?
野依氏 自然科学の基本は自然界の真理を追究することにあります。人類の根源的な知といってもよく、永遠の文化的価値をもつものです。ポール・ゴーギャンの絵に「われわれは何処から来たのか、われわれは何者か、われわれは何処へ行くのか」と題するものがあります。科学はこの問いに対して真正面から答えようとするものです。さらに科学知の活用によって生まれる技術は、文明社会の礎です。優れた科学技術こそが、我が国にとって国際競争力の源であり、また国際協調の柱となると考えています。