[スポンサーリンク]

元素

塩素 Chlorine 漂白・殺菌剤や塩ビの成分

[スポンサーリンク]

 水道水の消毒に欠かせない塩素。一部の貴ガス、炭素、酸素以外の元素と直接化合して塩化物を作ります。漂白剤、消毒剤、染料、爆発物、さらし粉などの塩化物に主に用いられています。

塩素の基本物性データ

分類 ハロゲン、ミネラル
原子番号・原子量 17 (35.453)
電子配置 3s23p5
密度 3.214kg/m3
融点 -101.0℃ 
沸点 -33.96℃
硬度
色・形状 黄緑色・気体
存在度 地球130ppm、宇宙 5240
クラーク数  0.19%(11位)
発見者 カール・ヴィルヘルム・シェーレ(1774年)
主な同位体 35Cl(75.78%), 37Cl(24.22%), 38Cl(β, 37.24分)
用途例 殺菌剤、漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)、ポリ塩化ビニル、クロロホルム(CHCl3)、各種塩
前後の元素 硫黄塩素ーアルゴン

黄緑色の元素

塩素(Chlorine)は、1774年シェーレが二酸化マンガンと塩酸を作用させることで塩素(Cl2)を発生させ発見しました。当初は化合物であると考えられていましたが、1810年にデービーによって元素であることを認められ、この気体が黄緑色であったことから、ギリシャ語で「黄緑色」を意味するChlorosにちなんで命名されました。日本語の塩素は「食塩の素」という意味から名付けられています。

プールや水道水の殺菌剤

塩素には強い漂白・殺菌作用があるため、プールや水道水の殺菌剤として使われています。ただし実際に投入されているのは塩素そのものでなく、水酸化ナトリウムに塩素を溶かした次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)です。プールに特有の「プール臭」があったり、あがったときに肌がサラサラするのはこの次亜塩素酸ナトリウムのためです。

塩素を含むプラスチック

ポリ塩化ビニル(PVC)は原料に占める石油の割合が約4割しかないうえに、製造過程における環境負荷が比較的少ない、耐久性が高い、リサイクルが容易である、木材の代替材料として利用範囲が広いなど、省資源・省エネルギー・環境保護の点から優れた特徴をもつ材料です。

1990年代にポリ塩化ビニルからダイオキシン*が発生するとして問題になりました。実際には、塩素を含む物質のほとんどが、不完全燃焼するとダイオキシンを発生するので、ポリ塩化ビニルに限ったことではないという意見が主流となっています。

2016-10-10_00-16-18

塩素に関するケムステ記事

関連動画

関連書籍

[amazonjs asin=”4946553517″ locale=”JP” title=”次亜塩素酸の科学―基礎と応用”][amazonjs asin=”4621073125″ locale=”JP” title=”実験化学講座〈13〉有機化合物の合成(1)―炭化水素・ハロゲン化物”]
Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 114番元素と116番元素が正式認可される
  2. ヘリウム新供給プロジェクト、米エアプロダクツ&ケミカルズ社
  3. 元素名と中国語
  4. アルミニウム Aluminium 最も多い金属元素であり、一円玉…
  5. ホウ素 Boron -ホウ酸だんごから耐火ガラスまで
  6. 元素ネイルワークショップー元素ネイルってなに?
  7. 窒素 Nitrogen -アミノ酸、タンパク質、DNAの主要元素…
  8. 森田浩介 Kosuke Morita

注目情報

ピックアップ記事

  1. エシュバイラー・クラーク反応 Eschweiler-Clarke Reaction
  2. 天然の保護基!
  3. 私が思う化学史上最大の成果-1
  4. 生体分子と疾患のビッグデータから治療標的分子を高精度で予測するAIを開発
  5. ヌノ・マウリド Nuno Maulide
  6. ハリー・グレイ Harry B. Gray
  7. 光触媒が可能にする新規C-H/N-Hカップリング
  8. 第33回ケムステVシンポ「研究DXとラボラトリーオートメーション」を開催します!
  9. クリンコヴィッチ反応 Kulinkovich Reaction
  10. チャールズ・リーバー Charles M. Lieber

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2016年10月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP