アルゴンは、何ものとも反応しない不活性ガスの代表的な元素です。ほかの不活性ガスに比べて多く(空気中に1%存在)、安価なガスです。
アルゴンの基本物性データ
分類 | 貴ガス |
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原子番号・原子量 | 18 (39.948) |
電子配置 | 3s23p6 |
密度 | 1.784kg/m3 |
融点 | -189.3℃ |
沸点 | -185.8℃ |
硬度 | — |
色・形状 | 無色・気体 |
存在度 | 地球—、宇宙 1.04✕106 |
クラーク数 | 0.00035% |
発見者 | レイリー、ウィリアム・ラムゼー(1894年) |
主な同位体 | 36Ar(0.3365%), 38Ar(0.0632%), 40Ar(99.60003%) |
用途例 | 電球の封入ガス、医療用レーザー |
前後の元素 | 塩素ーアルゴンーカリウム |
最も多い不活性ガス
ラムゼーとレイリーは、大気中の窒素を、赤熱したマグネシウムに通したところ、残った気体が純粋な窒素に比べて重いことを発見しました。分光分析の結果、これが新元素だということに気づき、何ものとも反応しないことからギリシャ語の「なまけもの」を意味するアルゴンと名付けました。
このように重さが異なるのがわかるのは、アルゴンが大気中に多く含まれているからです。実は、大気の成分では二酸化炭素(存在比0.03%)よりもはるかに多い約1%がアルゴンで、貴ガス中でも最大の存在比となっています。
レイリー(Rayleigh)
1842-1919年。本名ジョン・ウィイアム・ストラット。イギリス、ケンブリッジのキャヴェンディッシュ研究所の物理学教授。1892年にアンモニアから得た純粋な窒素が大気中の窒素よりも軽いことを報告し、その後ラムゼーと共同研究を行い、アルゴンを発見した。その他に空が青くなる理由を示す(レイリー散乱)などの発見者として知られる。
実験室で使用
大学の研究室などで化学実験を行う際、酸素や水に弱い試薬や反応基質を使うために、空気下で反応を行いたくない場合が、往々にしてあります。そういうときは、窒素を反応溶液内に流して窒素下で行います。ただ、窒素は不活性ガスではないので、反応してしまう場合があります。それに対してアルゴンは何ものとも反応せず、さらに空気より1.4倍も重いため、反応溶液内にのこて空気を追い出してくれます。ただし、不活性ガスの中では安価とはいえ、窒素より高価であるのが難点です。
蛍光灯の封入ガス
蛍光灯の中には、水銀ガスとアルゴンガスが封入されています。電極に電流を流すと電子が放出され、水銀原子に衝突して紫外線を発します。これが蛍光灯の表面に塗られた蛍光体に当たることによって光を発します。アルゴンガスが封入されていることによって、、放電が一定に保たれます。
アルゴンに関するケムステ記事
- アルゴン (argon; Ar)
- グローブボックスあるある
- シャンパンの泡、脱気の泡
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