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触媒化学との「掛け算」によって展開される広範な研究

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前回の記事でご紹介したとおり、触媒化学融合研究センター(触媒センター)では「掛け算」の思想により、触媒化学と異分野の融合を積極的に推進しています。

「触媒化学」×「資源循環・カーボンニュートラル」
ケイ素、リン、CO2の変換は、各応用に有用なファインケミカルを作り上げる重要な技術ですが、変換困難な化学結合を含む都合、このような化学変換を進行させるための概念的に新たな触媒設計が求められています。「NEDO/GI基金事業」などを活用した産・学・官の連携によって、資源循環技術の基礎研究から社会実装までを一気通貫で行います。

「触媒化学」×「高分子分解」
マイクロプラスチックに代表される環境汚染問題は世界的イシューですが、人工高分子が難分解性である背景には、強固な化学結合を構成要素としている背景があります。この高分子分解には、不活性結合の切断・分解を可能にする新たな触媒化学の総説と学理構築が必要とされています。「NEDO/GI基金事業」や「ERATO/野崎樹脂分解触媒プロジェクト」などを通した企業、大学との連携によってこの難題に挑みます。

「触媒化学」×「先端分析法」
不均一系触媒や、高分子固体材料はその低溶解性ゆえに溶液法で活用可能な精密分析法が適用不可能であり、精密な解析は長年の課題でした。当センターが保有している固体DNP-NMR装置は、京大化研とともに、国内では2台しか存在していません。パルスプログラムの開発により、これまで観測困難だった核種の観測も実現しており、用途はますます拡大を見せています。

「触媒化学」×「実験自動化」
NEDOプロジェクトである「デジタル駆動化学による機能性化学品製造プロセスの新基盤構築」や「機能性化学品の連続精密生産プロセス技術の開発」、「FlowSTコンソーシアム」や「学術変革領域A/デジタル有機合成」などを通した産学連携研究体制のもと、エネルギー消費や共生成物排出量の多いバッチ法から効率的な連結フロー法に置き換えるとともに、プロセス情報や反応データ等を用いた合成プロセス設計を行うデジタル駆動化学を活用することで生産プロセス・イノベーションを創出することを目指します。

「触媒化学」×「天然資源変換、食・薬・医療」
2019年度に設立した「産総研・筑波大 食薬資源工学オープンイノベーションラボラトリ(FoodMed-OIL)」の連携と活用により、研究開発を一層加速します。

 

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