[スポンサーリンク]

ケムステニュース

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

[スポンサーリンク]

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、2024年度より開始される修士卒研究職の育成制度は「すごい!」としか言いようがありません。

  • 大学との連携を強化し、共同研究等と一体となった博士号取得により、高度な研究人材に育成
  • 採用する修士卒研究職全員について博士号取得を業務と位置付け、取得にかかる費用を産総研が負担
  • 育成責任者に加え、メンター制度を導入し、修士卒研究職の成長を全面的に支援
[産総研ニュース] リンクはこちら

ケムステSlackでも生長副代表が本件の特徴を以下のように紹介されています。

  • 全領域を対象 → 昨年度と同様です
  • 大学等との共同研究が前提  既存の共同研究を継続させたり、新たに弊所と連携したい研究室にとっても活用価値があると思います
  • 博士号取得を「業務」と位置づけ  学位取得に必要な入学金、授業料、交通費などは弊所が全額負担します
  • 所内ホスト研究者に加え、メンターを伴走  学位論文に不適切なテーマ(公開制限があるものなど)が選ばれたり、ホスト研究者のワンマン姿勢に振り回されるリスクは減るでしょう
  • 「任期の定めのない定年制の職員」として採用 → このご時世、おそらくこれが一番大きな利点でしょう

中でも目を引くのは「任期がない職員」でありながら「業務として博士号取得」の機会が得られるということではないでしょうか?

今回の育成制度を策定した経緯やその思いを伺うべく、産総研 人材マネジメント室よりコメントをいただきました。

仲介いただいた生長副代表、産総研 ブランディング・広報部 報道室 青山様、ありがとうございました!

今回の育成制度を策定しようとした経緯を教えてください

産総研は、社会の課題を解決することや産業の競争力を強化することを目指しています。

そのため、今後、重要な目標として、ナショナル・イノベーション・エコシステムの中心となる機関であり続けることを掲げました。

この目標を達成するためには、基礎的な研究だけでなく、応用研究や社会での活用も重要となるため、これを担う優れた研究者を獲得し、育てる必要があります。

そのため、研究者の採用に力を入れており、2022年には約120人、2023年には約150人を採用し、その後も採用を増やしていきます。

一方で、大学院に入る博士課程の学生は減っています。だからこそ、博士号を持つ人材だけでなく、優秀な若手人材を積極的に採用すべく、

2023年秋からは全ての研究領域で修士課程修了者の採用を始めました。大学との連携を通じて採用した修士卒研究職に博士号を取得させ、

高度な研究人材に育てていきます。これらの取り組みによって、社会課題の解決に貢献し、産業や社会、国との連携を深め、新しい価値を生み出すイノベーションの実現を目指します。

産総研の皆様の思い、メッセージをお願いします!

「産総研はミッションである「社会課題解決」と「産業競争力強化」を達成すべく、研究開発の担い手となる修士卒研究職の採用を拡大しています。

産総研で働きながら博士号を取得し、産総研での研究を通じ、ともにイノベーション創出に貢献しませんか。産総研が掲げるビジョンやミッションに共感し、

ともにその達成を目指す皆さまからのご応募を心よりお待ちしております。

Avatar photo

KeN

投稿者の記事一覧

大学教員→企業研究者。自分の知らない化学に触れ、学び、楽しみ続けたいです。

関連記事

  1. Natureが査読無しの科学論文サイトを公開
  2. 中皮腫治療薬を優先審査へ
  3. 製薬会社5年後の行方
  4. 世界初の「窒化タンタル光触媒」、可視光で水分解
  5. サンギ、バイオマス由来のエタノールを原料にガソリン代替燃料
  6. ノーベル化学賞、米仏の3氏に・「メタセシス反応」研究を評価
  7. 三井化学が進める異業種との協業
  8. ノーベル化学賞明日発表

注目情報

ピックアップ記事

  1. プラスチック類の選別のはなし
  2. 第6回ICReDD国際シンポジウム開催のお知らせ
  3. 資生堂企業資料館
  4. 第2回慶應有機合成化学若手シンポジウム
  5. アキラル色素分子にキラル光学特性を付与するミセルを開発
  6. コランニュレン corannulene
  7. 網井トリフルオロメチル化 Amii Trifluoromethylation
  8. π-アリルパラジウム錯体
  9. ワイス反応 Weiss Reaction
  10. 化学研究で役に立つデータ解析入門:エクセルでも立派な解析ができるぞ編

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

次世代の二次元物質 “遷移金属ダイカルコゲナイド”

ムーアの法則の限界と二次元半導体現代の半導体デバイス産業では、作製時の低コスト化や動作速度向上、…

日本化学連合シンポジウム 「海」- 化学はどこに向かうのか –

日本化学連合では、継続性のあるシリーズ型のシンポジウムの開催を企画していくことに…

【スポットライトリサーチ】汎用金属粉を使ってアンモニアが合成できたはなし

Tshozoです。 今回はおなじみ、東京大学大学院 西林研究室からの研究成果紹介(第652回スポ…

第11回 野依フォーラム若手育成塾

野依フォーラム若手育成塾について野依フォーラム若手育成塾では、国際企業に通用するリーダー…

第12回慶應有機化学若手シンポジウム

概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大学理工学部・…

新たな有用活性天然物はどのように見つけてくるのか~新規抗真菌剤mandimycinの発見~

こんにちは!熊葛です.天然物は複雑な構造と有用な活性を有することから多くの化学者を魅了し,創薬に貢献…

創薬懇話会2025 in 大津

日時2025年6月19日(木)~6月20日(金)宿泊型セミナー会場ホテル…

理研の研究者が考える未来のバイオ技術とは?

bergです。昨今、環境問題や資源問題の関心の高まりから人工酵素や微生物を利用した化学合成やバイオテ…

水を含み湿度に応答するラメラ構造ポリマー材料の開発

第651回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院工学研究科(大内研究室)の堀池優貴 さんにお願い…

第57回有機金属若手の会 夏の学校

案内:今年度も、有機金属若手の会夏の学校を2泊3日の合宿形式で開催します。有機金…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー