1ドルで買って大儲けというのには全く興味がないのですが、ヘリウムの生産が始まったという部分には要注目かと思いますのでニュースを紹介させていただきます。
南ア企業、草地のガス生産権を1ドルで購入 発見したヘリウムは数十億ドル相当か
(CNN) 南アフリカの新興企業レナジェンが、同国フリーステート州バージニア近郊にある草地のガス生産権と採掘権を購入したとき、創業者らは近くの採掘場に電力が供給できるほどの小規模な天然ガス埋蔵量が見つかることを期待していた。
レナジェンのステファノ・マラニ最高経営責任者(CEO)によると、同社は2013年に1ドル(現在のレートで約148円)で生産権と採掘権を購入し、何年も前に鉱物探査用に設置された2本のさびたドリルパイプから流れるガスの組成テストを行った。そこで発見されたのは、標準よりもはるかに高濃度なヘリウムだった。
パーティー用の風船を膨らませる以外にも、ヘリウムにはさまざまな商業的用途がある。凝縮して液化させたヘリウムは、マイクロチップの製造やMRI(磁気共鳴断層撮影)のスキャン技術に不可欠な冷却成分として使用される。だが、世界のヘリウム価格と供給は不安定で、ヘリウムの生産を行う国は世界で10カ国にも満たない。
レナジェンは偶然にも金脈を掘り当てたのだった。同社は現在、バージニア・ガス・プロジェクトでおよそ1億9800万立方メートル以上のヘリウム埋蔵量を確認しており、その価値は40億ドル以上、さらに潜在的な埋蔵量を含めると最大120億ドルに達する可能性があるという。
(中略)
レナジェンの天然ガス埋蔵量が特別なのは、ヘリウムの濃度が標準よりもはるかに高いことだ。マラニ氏によると、その割合は平均3%で、場所によっては12%に達するという。対照的に、米土地管理局(BLM)によると、世界最大のヘリウム供給国である米国のヘリウムの濃度は平均すると0.35%、もう一つの主要国であるカタールのヘリウムの平均濃度は0.04%だ。
(後略)
太字は筆者による CNN 2024年1月27日
ヘリウムに関する話題は定期的にありまして(こちら、こちら、こちら)、特に近年の高止まり傾向にはほとほと困り果てております。医療用のMRIや化学におけるNMRは液体ヘリウムをかなり消費しますので切実な問題です。
筆者の大学にも液体ヘリウムが必須なNMRが数台ありまして、いったい年間おいくらかかっているのかは怖くて正視できないレベルです。従って価格が下がってくれるかもしれないニュースには飛びついてしまいます。
以前タンザニアでヘリウムガス田が発見されたというニュースを紹介させていただきましたが、結局その後商業ベースには乗っていないようです。現在のヘリウム生産国は限られており、ざっくりとですが米国55%、カタール30%、ポーランド、オーストラリア、ロシア、アルジェリアが残り15%のシェアとなっております。
今回のニュースを信じるならばかなり高濃度でヘリウムが含まれているようなので、コスト面で戦える可能性があります。そうなれば世界シェアの数%を取れるかもしれません。
ヘリウム価格大暴落とまではいかないかもしれませんが、せめて需給の逼迫みたいなことに貢献してくれないかなと期待しておきます。