現在 CAS では新しい Life Science のソリューションの開発を行っています。この新ソリューション提供までの間、CAS SciFinder Discovery Platform 契約機関のユーザーの方は CAS Bioactivity Data を CAS SciFinderⁿ で確認できるようになりました。 (引用:JAICIニュース12月20日)
論文検索において必須のツールであるSciFinderは、機能のアップデートが続けられておりSciFinder上から論文で登場する化合物の様々な情報を取得できるようになってきています。2022年12月のアップデートでは、以下の生物活性データにアクセスできるようになりました。
– Structure Activity Relationships (SAR:構造活性相関)
– Absorption, Distribution, Metabolism, Excretion (ADME:吸収、分布、代謝、排泄)
– Toxicity (毒性)
化学情報協会の紹介動画の通り、物質とリファレンス検索結果のフィルターにBioactivity Dataが追加されており、他の項目同様チェックすることでデータが存在する物質やリファレンスに絞ることができます。
個々の生物活性データはリストで表示され、並び替えやフィルター、エクセルでダウンロードも可能です。
そしてView Detailをクリックすることで評価方法といった詳細を確認することができます。
CASでは様々な分野で使えるツールを開発しており、特にライフサイエンス分野に注力しています。この生物活性データもその一環で、新しいソリューションを開発している間、SciFinderⁿを通じてアクセスできるようです。そのため恒久的に使えるかどうか不明であり、関連する研究を行っている方は、早めにチェックしたほうが良いかもしれません。化学情報協会では、4月18日に登録機関を対象にウェブセミナーを実施しますので、興味のある方はこちらも参加してみてはいかがでしょうか。
以上がCAS Bioactivity Dataについてですが、これ以外にもSciFinderⁿの細かなアップデートが多数なされており一部を紹介させていただきます。
- 反応の詳細ページのレイアウト変更と反応タイプ別のグルーピング機能の実装
反応スキームを中央に、Reaction Overviewと出典情報を左側に、中央下部に Transformations (反応タイプ) と Reaction Notes が表示されるようになりました。
また、反応検索の結果をTransformations (反応タイプ) 別にグルーピングできるようになりました。
- CAS Reaction Number による検索
各一段階反応に対して付与されている番号であるCAS Reaction Numberを使って反応を検索できるようになりました。
- Substancesのフィルター機能強化
Substances 検索結果において Reference Availability のフィルター項目が追加され、文献のあるなしで絞り込むことができます。
- ORCID iD 検索
ORCID iD が付与されている著者名のリンクから、その著者に関する文献を検索できるようになりました。
昔は本で調べるしかなかった論文検索も、現在ではいくものデータベースサイトが登場し、検索方法も文字だけでなく構造式での検索も可能になり、より便利に効率よく検索することができるようになっています。巷ではChatGPTをはじめとした対話型AIの開発が話題に挙がっていますが、このようなAIを活用した検索が化学のデータベースサービスにも実装され、検索に割く時間がより短くなるかもしれません。更なる機能の強化に期待します。
関連書籍
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- CAS SciFinderⁿ – CAS Bioactivity Data (Preview) の提供開始:12月20日化学情報協会ニュース
- CAS SciFinderⁿ – 反応検索関連の強化、配列質問式入力に関する強化:11月22日化学情報協会ニュース
- CAS SciFinderⁿ – 類似文献の情報追加、Substances のフィルター機能強化など:3月30日化学情報協会ニュース