三菱ケミカルグループは、持続可能な製品の国際的な認証制度の一つである ISCC (International Sustainability and Carbon Certification、国際持続可能性カーボン認証)PLUS 認証の取得を開始したことをお知らせします。 (引用:2月20日三菱ケミカルグループプレスリリース)
三菱ケミカルグループは、植物由来のバイオエンジニアリングプラスチック「DURABIO™(デュラビオ™)」が、ドイツの認証機関 DIN CERTCO とオランダの認証機関NEN の 2 つのバイオベース製品認証を 2022 年 12 月に取得したことをお知らせします。(引用:2月27日三菱ケミカルグループプレスリリース)
三菱ケミカルグループは、アクリル樹脂ケミカルリサイクルの事業化に向け、東京海上日動火災保険株式会社および株式会社ABTと共同で、使用済自動車からアクリル樹脂を回収するためのスキームについて実証実験を開始することをお知らせいたします。(引用:2月20日三菱ケミカルグループプレスリリース)
三菱ケミカルグループは、運営するアパレルブランド「age3026™」(エイジ・サン・マル・ニー・ロク)において、3月1日(水)より新作アイテムを販売いたします。 当社グループは、化学を基盤とした革新的なソリューションで、人、社会、そして地球の心地よさが続いていくKAITEKIの実現をリードするため、「age3026™」を通じて今後も新たな時代に生きる一人ひとりに寄り添った事業を展開するとともに環境課題の解決に貢献してまいります。(引用:3月1日三菱ケミカルグループプレスリリース)
アステラス製薬株式会社、三菱ケミカルグループ、CKD株式会社は、第 5 回 日本オープンイノベーション大賞において、「環境に優しいバイオマスプラスチックを用いたPTP包装の実用化」が環境大臣賞を受賞したことをお知らせします。(引用:2月22日三菱ケミカルグループプレスリリース)
三菱ケミカルグループ株式会社は、米国S&P Global社によるサステナビリティ格付である「The Sustainability Yearbook 2023」において、「上位10%(Top 10% S&P Global ESG Score 2022)」に選定されました。(引用:2月17日三菱ケミカルグループプレスリリース)
三菱ケミカルからサステナビリティに関する取り組みが多数プレスリリースされましたのでまとめて紹介します。
サステナビリティに関する認証取得
1件目と2件目は、認証取得に関するプレスリリースであり、1件目では ISCC (International Sustainability and Carbon Certification、国際持続可能性カーボン認証)PLUS 認証を三菱ケミカルグループの拠点と製品で取得しました。
ISCCは、農業、林業、廃棄物および残留物の原材料、非バイオ再生可能物に対する持続可能な、森林破壊のない、追跡可能なサプライチェーンの実装と認証のための認証制度です。対象の産業は広く、食品、飼料、エネルギー、化学と様々な分野の持続可能性の要件に対応するソリューションを提供しています。ISCCにはISCC EUとISCC PLUSの二つがあり、EUは再生可能エネルギー指令(RED)IIで指定されている要件への準拠を実証するための認証システムでISCC PLUSはRED IIの対象でない分野向けの認証制度です。そのため、あらゆる種類の農林業原料、廃棄物と残留物、非バイオ再生可能エネルギー、リサイクル炭素材料と燃料が対象となります。
三菱ケミカルグループでは、茨城と岡山事業所、三菱ケミカル旭化成エチレン株式会社で生産するエチレン、プロピレン、ベンゼン、分解ガソリン、C4留分、EVOH 樹脂「ソアノール™」については認証取得を完了しており、他の拠点や各種誘導体についても認証の取得を進めています。
2件目は、バイオベース製品認証についてです。三菱ケミカルグループでは、再生可能な植物由来原料「イソソルバイド」を用いてバイオエンジニアリングプラスチック、DURABIO™を製造しています。
このDURABIO™に対してどれ位のバイオマス原料が使われているかを示す認証、DIN-Geprüft biobased labelsとBiobased logo on NCS 16785 (en)の二種類を今回取得しました。前者は、ドイツの認証機関、DIN CERTCOがASTM D6866に基づき、後者はオランダの認証機関MENがNCS 16785に基づき、バイオベースの濃度を算出し、基準を満たした製品にはラベル使用が認められます。
この認証取得により、DURABIO™のエンジニアリングプラスチックとしての価値が欧州を中心に国際的に広く認知されることになるとしています。
ケミカルリサイクルの事業化に向けた実証実験
3件目は、アクリル樹脂のケミカルリサイクルに関する連携についてです。三菱ケミカルグループは、世界有数のアクリル樹脂メーカーであり、近年では使用済みのアクリル樹脂からアクリル樹脂を作り出すケミカルリサイクルにも力を入れています。
そんな中、自動車保険を取り扱う東京海上日動と使用済自動車のリユース・リサイクルを手掛けるABTと連携し、自動車のアクリル樹脂を回収するスキーム構築を目指します。自動車事故が発生すると、保険金の支払によっては保険会社が自動車を取得することがあります。その取得した自動車についてABTでは東京海上日動から委託を受けて、リユースしたり破砕して資源にしたりと様々な処理を行っていますが両社が持つ使用済自動車処理のネットワークを活用し、テールランプ等のアクリル樹脂を回収するスキーム構築を目指すそうです。
具体的には、2023年3月から関東地区において、1000台ほどの使用済自動車からアクリル樹脂を回収する実証実験を開始し、その結果を踏まえて2024年度にも全国ネットワークでの取り組みに拡大していくことを目指すそうです。
環境に配慮した素材を使った新作アイテムの発表
4件目は、三菱ケミカルグループが運営するアパレルブランドが発表した洋服についてです。三菱ケミカルグループでは、「千年先の未来まで美しい世界を紡いでいきたい」という想いでアパレルブランド、age3026™を立ち上げ、木材パルプを主原料としたトリアセテート繊維、ソアロン™を使用したシャツやパンツ、ジャケットなどを販売しています。
軽量感や形態安定性、上品な光沢と鮮やかな発色性など「#ソアロン」の特性が存分に生かされた、15 点(30 体) の作品がショー形式で審査されました📝
第16回を迎える今年は、パク スラさんが金賞・三菱ケミカルグループ賞・東京ソワール賞をトリプル受賞しました👏🏻✨#文化学園 #デザイナー #デザイン https://t.co/PsXYKiq8Ay pic.twitter.com/PbYZGBkfeb
— 三菱ケミカルグループ【公式】 (@mcgc_jp) December 23, 2022
今回、暑くて蒸れやすい梅雨の季節にお勧めのジャケットとパンツを新発売しました。ジャケットには、両脇下と背面に通気性を良くする機構を設け、パンツには裾幅を調節するボタンを搭載し、雨や砂ぼこりの靴内への侵入を予防できるようになっています。カラーはダークネイビーとグレーの2色を用意しています。age3026™の商品は全て完全受注生産であり、注文から1か月ほどで届くようです。
三菱ケミカルオリジナルアパレルブランド「age3026™」新作アイテム展開について https://t.co/AeLYu89WTl @PRTIMES_JPより
新作の詳細はこちらからも確認できます👀#age3026 #雨の日ジャケット#雨の日パンツ
— age3026™|Soalon™公式アパレルブランド (@age3026) March 1, 2023
サステナビリティに関する活動への評価
5件目は、バイオマスプラスチックを用いた薬の包装が日本オープンイノベーション大賞を受賞したプレスリリースです。錠剤やカプセルの薬は、PTP(プレス・スルー・パッケージ)と呼ばれる樹脂シートとアルミニウム箔で包装され、シートを押してアルミニウム箔から薬を押し出して取り出します。三菱ケミカルグループではこの樹脂シート(PTPシート)について研究を行い、原料の50%以上を植物由来に切り替えた素材を開発しました。その素材を使って、アステラス製薬およびCKDが、錠剤保護機能およびユーザビリティの要件を満たす最適な製造条件を検討し、バイオマスプラスチックを用いたPTPシートを世界で初めて実用化しました。
2月15日、日本オープンイノベーション大賞の表彰式が行われました🏆
2つの賞を受賞した当社グループの当日の様子をご紹介します。
まずご紹介するのは、植物由来原料を使った防湿シートを用いた医薬品包装実用化の取組み👏
環境大臣賞を受賞しました🌏✨🔗詳細https://t.co/pmdl60WF7U https://t.co/oNWYN4gKMc pic.twitter.com/SiEnSxVhEE
— 三菱ケミカルグループ【公式】 (@mcgc_jp) February 22, 2023
第 5 回 日本オープンイノベーション大賞では、業界を超え 3 社が協力し、実際に製品化に至った点が評価されが環境大臣賞を受賞しました。
最後は、S&P Global社により「Top 10% S&P Global ESG Score 2022」に選定されたプレスリリースです。S&P Global社は毎年、世界の大手企業を対象に、経済・環境・社会の3つの側面から企業の持続可能性について評価しており、これらの結果概要をまとめた「Sustainability Yearbook」を公表しています。三菱ケミカルグループでは、化学分野において世界第4位に選定されました。各企業について環境、社会、ガバナンスと経済の三つの項目に対して100点満点で採点され、三菱ケミカルグループでは、それぞれ83点、80点、80点で総合ESG評価は81点となりました。
以上6件目のプレスリリースについてそれぞれを簡単に紹介しましたが、1件目と2件目における認証取得はサステナブルな製品の大きなアピールとなると思いました。いかに二酸化炭素を排出しない原料や方法で製品を作るかが重要な要素となりつつある中で、それを認証取得で示すことは特定のルールに基づいて正しく製品を製造していることの証明になるのではないでしょうか。3件目のアクリル樹脂のリサイクルは、効率よく廃プラスチックを回収することが事業化には重要であり、そのために保険会社や車両の処理業者と連携したことは興味深い点です。よりケミカルリサイクルが活発になれば、リサイクルしやすい自動車部品作り(例えばねじを外すだけで車体からアクリル樹脂部品だけを取り出せるなど。)が求められるようになるかもしれません。4件目のサステナブルな素材を使った洋服ですが、まず化学会社がアパレルサイトを運営していることに大変驚きました。高価格帯の製品を販売しており、さらに受注生産であるため大きな規模での事業ではなさそうですが、自社で開発した素材を少しでも普及させるために洋服として販売しているようです。5件目の薬の包装紙の受賞について、人体への影響に対して極めて敏感になる薬の領域への挑戦には大きな壁があったと想像できます。それでも製品化まで漕ぎつけることができたのは、評価の通り3社の強い協力があったからではないでしょうか。6件目のESGスコアについて、業界平均よりも極めて高いスコアになっており、世界中でも優れた結果であると言えます。そして5件目までの積極的な活動があるのもESGスコアが高いことにもつながると思います。
サステナビリティ、カーボンニュートラルに対しては、製品製造から開発、購買、サプライチェーン、コンプライアンスなど社内の多くの部門が関わって築き上げていくものであることが、三菱ケミカルのプレスリリースからわかります。マネジメントの方針だけでなく社内全体で高い意識を持ってこの問題に取り組む必要があると思います。