三井化学株式会社は、常務執行役員 CDO 三瓶 雅夫による、三井化学グループ全社でのDX推進の取り組みを紹介する動画「三井化学のDX」を公開いたしました。三井化学は、2030長期経営計画に基づき、社会課題解決企業への変革を進めております。この変革の基礎・基盤となるのがDXであり、昨年2021年4月にDX推進室を創設しました。当動画では、この1年半の間にDXを用いて、どのような企業変革を実行してきたのか、その具体的な取り組みを紹介いたします。(引用:11月14日三井化学プレスリリース)
各企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みについては、過去にいくつか紹介させていただきましたが、最近は少しその動向が少し落ち着いた印象を受けます。そんな中、三井化学よりDX推進の振り返りを紹介するYoutube動画が公開されました。
動画は、常務執行役員 CDO(Chief Digital Officer)三瓶氏が発表者としてプレゼンするスタイルで、冒頭では自身の経歴を紹介されています。
動画の内容を見ていくと、三井化学の事業紹介から始まり、コロナ対策への貢献、現代が直面している健康や環境問題に対応する取り組みを強調しています。カーボンニュートラルについては、九州大学との共同研究と共にDX活用例であるGHG(Green House Gas)排出量のリアルタイムモニタリングに触れています。トピックは長期目標に移り、2030年への長期計画(VISION 2030)の4つ戦略を実行するための基礎がDXを通じた企業変革であるとしてDX推進が企業成長に必要であることを強調しています。
動画の6分30秒ぐらいからDXの話題に入り、まずその手段と基本戦略①デジタルリテラシーの向上 ②業務変革の推進 ③開発力の強化 ④事業モデルの変革 を説明しています。その上で将来、三井化学がどのように仕事を進めるか、現在と比較ししながらDX活用例を例示しています。
続いて具体的な取り組みとして、各職場でのDXチャンピオンの選出やリファレンスブックの設定、DXの習得レベルの設定、アジャイルによる開発の加速などを行った取り組みが紹介されています。15分前後からは、活用事例の内容に入り、ブロックチェーン技術を用いたプラスチックの資源循環型プラットフォームの構築やAIを用いた新規用途開発、全社オンラインイベントの開催、DX社内広報・イベントの推進などをアピールしています。
工場におけるDXでは詳細な内容まで踏み込んで説明しており、各種AIやドローンの貢献、最新のインフラ技術を用いたリードタイムの短縮、工場間でのデータ連携を紹介しています。研究開発においてはMIを活用した新規材料開発イノベーションとして、新材料発見の高速化、合成前の毒性予測、コンパウンドの生産プロセス・材料の最適化について得られた成果を強調しながら解説されています。
最後に、DXで企業変革を目指すCX(企業変革)by DXを強調してプレゼンを締めています。
動画の中では聞き慣れない略語が登場しgoogleで調べる場面もありましたが、概ね分かりやすい内容で、三井化学のDXに関する活動の全体を知ることができました。特に特定の部署のみ関わっているのではなく、全社を挙げて活動に取り組みDX推進を盛り上げるような体制を作っていることが強調されていると感じました。また企業動画としては珍しくコメント機能が有効になっているのはユニークな点で、すでに賞賛のコメントがいくつか投稿されています。Youtubeにて役員が特定の活動を紹介して動画は多くは見かけませんが、この動画投稿の意図を想像すると企業アピールが主の目的だと思います。将来性の高い事業のアピールは株式企業としては当たり前であり、また動画内の資源循環型プラットフォームや全社イベントは、参加企業の募集を兼ねているのではないでしょうか。さらには、就活における学生へのアピールにもなっているかもしれません。この動画に刺激されて他社にもDXの継続的な推進と動画による活動報告が広がることを期待します。
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