[スポンサーリンク]

ケムステニュース

NITEが化学品のSDS作成支援システムをNITE-Gmiccsにて運用開始

[スポンサーリンク]

NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)は、化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)に基づくSDS(安全データシート)の作成を支援するシステムの運用を2022 年4 月1 日(金)より開始いたしました。NITEでは2021年4月より、化学品(混合物)のGHS 分類を自動で判定し、ラベルを作成するWeb システム「NITE-Gmiccs(ナイトジーミックス)」を運用して参りました。この度のSDS作成支援機能は、この NITE-Gmiccsの追加機能として新たに実装したものです。 (引用:PR TIMES4月1日)

NITE(製品評価技術基盤機構)では、2021年4月より化学品(混合物)の GHS分類を自動で判定しラベルを作成する Webシステム、NITE-Gmicc(NITE-GHS Mixture Classification and Labels Creation System)を運用しておりましたが、2022年4月1日よりSDS作成支援機能が追加されました。

化学品を取り扱う企業にとってGHSに基づいたラベルやSDSを作製することは重要で、GHS に基づいたラベル表示やSDS提供の義務が労働安全衛生法や化学物質排出把握管理促進法(化管法)で規定されています。企業によっては、用途に応じて多種類の混合物を製造・販売しており、混合物一つ一つに危険有害性情報を定義する必要があります。そこで、企業のコスト削減、化学品が有するリスクの低減を目的とし、NITEでは混合物の健康有害性と環境有害性情報を自動計算し判定するシステムGHS 混合物分類判定システムを開発してきました。

GHS 混合物分類判定システムは、パソコンにインストールして使用する形態でしたが、2021年4月にはWeb ツール化したシステムNITE-Gmiccの運用が開始され、さらに2022年4月1日よりSDS作成支援機能が追加されました。よってNITE-GmiccでラベルだけでなくSDSも自動的に作製できるようになりました。

下記、実際に利用してみた様子です。特にアカウントを作る必要はなく、「混合物GHSを分類・ラベルを作成する」をクリックすると作成画面に移ります。上のバーには、サポート情報へのリンクが貼りつけられており、GHS関連の事柄を調べることができます。

NITE-Gmiccsのトップ画面

混合物の情報をまとめてインポートするか一件ずつ登録する

混合物の分かっている情報を入力する

「1件ずつ登録」をクリックすると、混合物の名前や組成を設定するページに移ります。エクセル形式のリストを使ってラベルやSDSを作製したい混合物をまとめて登録することも可能です。
分かっている情報を入力し、このシステムの肝である混合物に含まれる成分をリストに加えていきます。

検索で成分の化学品を選択する

比率を入力すると100%の含有率に変換され登録が完了します。例ではNITEのデータベースから毒性と危険性の情報を参照しましたが、自分自身の成分のデータベースの情報を使用することも可能です。

成分の比率を決定する

分類実行をクリックすると分類が行われ、分類結果が表示されます。それぞれの判定に対して計算の結果と根拠を確認することができます。なおこれは分類ロジックに基づく自動的な計算結果であり、他のルール(後述)を適用して分類を書き換えることも可能です。

判定ルールの選択する

ここまでの編集をエクスポートすることも可能

分類された健康毒性の一部

皮膚腐食性/刺激性が区分2と分類された根拠

ラベルとSDS様式出力画面では、それぞれがZip圧縮されたエクセルで出力されます。作成した混合物のデータはエクスポートすることも可能で、後で出力することも可能です。

ラベルに入力する情報の設定

エクセルに出力されたラベル

SDS出力設定

エクセルに出力されたSDSの一部

このシステムで分類できるのは、健康有害性と環境有害性で、物理化学的危険性については一部を除き分類されないため、各自で分類や測定結果を使って出力されるSDSに加えることが必要です。また、個々の成分、及び類似の試験された混合物に関する十分なデータがある混合物について希釈、濃縮、混合などを行った場合には、「つなぎの原則」を使用できますが、このNITE-Gmiccではつなぎの原則は適用されず、混合比に基づいて計算されるにとどまります。

GHSはケムステchemglossaryにて取り上げましたが、世界中の化学品に関わる人の安全と健康を守るためには必要不可欠な取り決めです。企業によっては製品やサンプルのSDSを取り扱う専門の部署があったり、外注で対応していたり、専門のソフトを導入しているかもしれませんが、会社の規模や予算によっては専門家のサポートを100%受けられない場合もあると思います。そんなときに任意の混合物についてそのGHS分類を自動で計算しラベルやSDSを出力してくれるツールが、無料で使用できるのは便利だと思います。

関連書籍

[amazonjs asin=”4873267439″ locale=”JP” title=”実務者のための化学物質等法規制便覧 2021年度”] [amazonjs asin=”4873267099″ locale=”JP” title=”GHS分類演習-GHS分類ができる人材育成へ-”]

関連リンク

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 石油・化学プラントのスマート保安推進に向けて官民アクションプラン…
  2. 2015年化学10大ニュース
  3. 積水化学、高容量電池の火炎防ぐ樹脂繊維複合材を開発
  4. 分子素子の働き せっけんで確認
  5. 化学大手2014年4–9月期決算:概して増収増益
  6. 虫歯退治に3種の抗菌薬
  7. 特許庁「グリーン早期審査・早期審理」の試行開始
  8. 化学の楽しさに触れるセミナーが7月に開催

注目情報

ピックアップ記事

  1. 真島利行系譜
  2. ハワイの海洋天然物(+)-Waixenicin Aの不斉全合成
  3. 理研の研究者が考える“実験ロボット”の未来とは?
  4. 第17回 研究者は最高の実験者であるー早稲田大学 竜田邦明教授
  5. 諸藤 達也 Tatsuya Morofuji
  6. 田辺製薬と三菱ウェルファーマが10月1日に合併へ‐新社名は「田辺三菱製薬」
  7. 1st Maruoka Conference on the Frontier of Organic Synthesis and Catalysis
  8. 浅野 圭佑 Keisuke Asano
  9. 高分子を”見る” その2
  10. 企業研究者のためのMI入門②:Pythonを学ぶ上でのポイントとおすすめの参考書ご紹介

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2022年4月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

【無料ウェビナー】粒子分散の最前線~評価法から処理技術まで徹底解説~(三洋貿易株式会社)

1.ウェビナー概要2025年2月26日から28日までの3日間にわたり開催される三…

第18回日本化学連合シンポジウム「社会実装を実現する化学人材創出における新たな視点」

日本化学連合ではシンポジウムを毎年2回開催しています。そのうち2025年3月4日開催のシンポジウムで…

理研の一般公開に参加してみた

bergです。去る2024年11月16日(土)、横浜市鶴見区にある、理化学研究所横浜キャンパスの一般…

ツルツルアミノ酸にオレフィンを!脂肪族アミノ酸の脱水素化反応

脂肪族アミノ酸側鎖の脱水素化反応が報告された。本反応で得られるデヒドロアミノ酸は多様な非標準アミノ酸…

野々山 貴行 Takayuki NONOYAMA

野々山 貴行 (NONOYAMA Takayuki)は、高分子材料科学、ゲル、ソフトマテリアル、ソフ…

城﨑 由紀 Yuki SHIROSAKI

城﨑 由紀(Yuki SHIROSAKI)は、生体無機材料を専門とする日本の化学者である。2025年…

中村 真紀 Maki NAKAMURA

中村真紀(Maki NAKAMURA 産業技術総合研究所)は、日本の化学者である。産業技術総合研究所…

フッ素が実現する高効率なレアメタルフリー水電解酸素生成触媒

第638回のスポットライトリサーチは、東京工業大学(現 東京科学大学) 理学院化学系 (前田研究室)…

【四国化成ホールディングス】新卒採用情報(2026卒)

◆求める人財像:『使命感にあふれ、自ら考え挑戦する人財』私たちが社員に求めるのは、「独創力」…

マイクロ波に少しでもご興味のある方へ まるっとマイクロ波セミナー 〜マイクロ波技術の基本からできることまで〜

プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーとして注目されている、電子レンジでおなじみの”マイクロ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー