日刊工業新聞社とモノづくり日本会議は、理工系学生(大学生・修士課程の大学院生、工業高等専門学校生)を対象に、科学技術への思いや日常で感じていることを発信していただくため、「理工系学生科学技術論文コンクール」を開催しております。本コンクールは1999年より開始して以来、今回で第22回目を迎える歴史ある学生向けの論文コンクールです。2021年度の応募を開始しており、理工系学生の皆さんの応募を受け付けています。「独創性」「将来性」「論理性」の3点から総合的に評価し、最優秀論文には「文部科学大臣賞」が贈られます。理工系学生の皆さんの論文を募集しています。 (引用:PRTIMES7月2日)
理工系学生科学技術論文コンクールは、理工系学生が日本の科学技術への思いを発信するためのコンクールです。
応募規定によると、主題は「科学技術と日本の将来」で3200字以内で論じます。対象は、理工系の大学生・大学院生(修士課程)・工業高等専門学校生で今年度の締め切りは2022年の2月10日です。
独創性・将来性・論理性で総合的に評価され、2022年の3月上旬に受賞発表、3月下旬には贈賞式が行われる予定です。最優秀賞・文部科学大臣賞1編には楯と奨学金20万円、優秀賞2編には楯と奨学金10万円、特別賞3編には楯と奨学金5万円が贈られる他、日刊工業新聞全国版に論文が掲載されるようです。
過去の入賞作品は公開されていて作品を見ていくと、科学政策・科学技術の一般的な内容から問題提起を行っている論文もあれば、特定の分野についてその内容に触れながら発展のための提案を行っている論文まで様々です。学年に関しても学部2年生から、修士2年、高専の6年生までと幅広い学年の方が入選しています。
2020年の最優秀賞・文部科学大臣賞を受賞された富山大学工学部工学科3年 木原真穂さんは、大学教育における理系専門科目とアクティブラーニングという内容の論文を発表しています。内容を要約すると、大学1,2年の授業は、教員が学生に知識を伝達する講義形式の授業が主で、学生が自ら主体的に学ぶことがなく大学での勉学の趣旨に合っていない。そのため低学年からもアクティブラーニングを積極的に行うべきだと主張されています。そのうえで、具体的なアクティブラーニングの方法を2例考案し、より主体的な学びに深化させることを提案されています。同じく2020年に特別賞を受賞された古屋大学工学部化学生命工学科3年 北島光之輔さんは、新たな科学技術を生み出すための学部講義の新しい在り方という内容の論文を発表しています。北島さんも学部の講義に関して問題提議し、自身の動画作成イベント参加の経験などから、学部 1 年から研究室に所属し、大学院生の実験の見学や簡単な模擬実験を通して既存の科学技術を学ぶ「短期研究室留学」を提案しています。もちろんこれらの提案に対して、講義を行い研究室を運営する大学の教員の方々はいろいろなご意見をお持ちだと思います。しかし、少なくとも学生サイドでも問題意識があり、そして建設的な提案がなされていることは認識されるべきではないでしょうか。
千葉大学大学院融合理工学府先進理化学専攻修士課程1年 濱口紀江さんは、クライオ電子顕微鏡の今後の発展における人材投資の重要性についてという内容で2020年に入賞しています。内容はクライオ電子顕微鏡について、日本での導入台数がわずか6台と他国に対して遅れをとっていることを問題視して、クライオ電子顕微鏡を使った研究を日本で加速するために、この機器を取り扱える人材の育成を強化すべきだと提言しています。このクライオ電子顕微鏡を日々使って研究されているからこその視点で、大変興味深い内容だと思います。
どの入賞作品どれを読んでも、なるほど、ごもっともな意見だと思えること書かれていて、それらが大学生から提案されていることに日本の科学技術の将来に希望を感じました。これを受けてどう政策を作るのかは政治家・官僚の方々であり、ぜひとも丁寧に学生からの意見を読んで真剣に考えていただきたいと思います。
話は過去の入賞作品にそれてしまいましたが、応募にあたってコンクールのサイトには、
自分はこう思う、世の中をこう変えたい、という熱い想いを、理工系学生という専門性を生かして提言してください。そのなかで必要に応じて、先駆的研究者の論文や、統計データ、新聞などメディアの報道を活用しながら、「社会に広く共感を得られる提言力を磨く」力試しをしてほしいと願っています。
と綴られています。作品の書き方についてもTipsが紹介されていて、例えば、審査基準である独創性・将来性・論理性に固執しすぎて独りよがりの論文にならないようアドバイスされています。
ぜひ、科学技術やそれに関する日本の未来、科学教育に関して思うことがある理工系の学生は、応募をして自分の考えを発信してほしいと思います。日本の科学技術を変えるきっかけになるかもしれません。
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