印刷インキや有機顔料世界トップシェアのDIC株式会社は、2021年1月より、数々のヒット作に出演し、いま最も勢いのある演技派女優、吉岡里帆さんを起用した企業ブランドCM「DIC岡里帆シリーズ」の第2弾の放送を開始します。 (引用:時事通信1月6日)
約一年前にDIC株式会社が女優の吉岡里帆さんを起用して、DICのコアテクノロジーを紹介するCMを制作したというニュースを紹介しましたが、その第二弾が発表されました。新しく追加されたのは、ラミネート用接着剤DUALAM、中空糸膜モジュールSEPAREL、DICカラーガイドです。
構成は第一弾と同じで、動画は、各トピック30秒と1分を超えるロングVerの2種類あり、ロングVerで内容を詳しく解説しています。30秒の動画でも各商品の特徴が簡潔にまとめられていてわかりやすいですが、ロングVerの方が技術内容を詳しく解説されているので興味が湧く内容になっています。さらに詳しい内容は、特設サイトにDICの担当者との対談形式で解説がなされています。もちろん、どのコンテンツも一般向けに作られているので専門外でも該当商品が解決したチャレンジなどをわかりやすく知ることができます。
ラミネート用接着剤DUALAMは、お菓子や洗剤の包装に使われるフィルムを張り合わせるための接着剤ということで、化学によって環境負荷と見た目の両立を実現させた例として興味深い製品開発例だと思いました。多くの製品の製造において、使う材料は同じでも製造する機械の進歩により性能を向上することができる(この場合を例にすると、フィルムを貼り合わせる機械が発達して、貼り合わせの効率と性能が良くなる)場合も多くあり、材料開発サイドとしては残念に思うことがあります。この場合、機械の技術発展で達成できたかは分かりませんが、化学が主導で環境負荷を抑えるプロセスの確立できたお手本となる事例ではないでしょうか。
次に中空糸膜モジュールSEPARELは、液体から脱気を行うためのモジュールで、半導体分野における超純水製造やインクジェットプリンターにおけるインクからの脱気、ECMOで血液から二酸化炭素を取り除くのに使われているそうです。根幹の組成は同じでもアプリケーションによってチューニングが必要であり、おそらくカスタマーの依頼ごとに検証を繰り返していると予想されます。液体を取り扱いの中で脱気の必要性を再認識される内容だと思いました。
最後のDICカラーガイドは、化学技術とは少し離れたトピックになりますが、印刷インキや顔料を主力商品とするDICの色について紹介している内容となっています。発表資料をパワーポイントで作る際にグラフのプロットに対してなんとなく異なる色を選んでいますが、実は日本に由来がある色を自然と選んでいるかもしれません。
Youtubeでの再生回数は、30秒Verの方が10倍ほど高くなっていますが、ぜひDIC製品を深く知るためにロングVerを視聴してほしいと思います。自分も化学愛を発揮して動画中の吉岡里帆さんのように関わった製品をアピールしたいものです。昨年同様、2021年1月25日(月)11:00 ~ 2月24日(水)17:00までDIC岡里帆のクイズに正解すると化学愛グッズが当たる!ツイッターキャンペーンを実施する予定だそうです。化学愛が我こそは一番だと思う方はぜひ応募してみてはいかがでしょうか。
ブランドムービーも昨年末に刷新し、DICの製品が使われている分野の紹介をメインとした内容になっています。
外部向けの内容であるため、研究の風景は演技であったり本当の実験ではないかもしれませんが、他社の実験室を見ることができるのはどんな内容でも興味深いです。このようなCMや技術紹介サイトを発表している化学メーカーはごく一部ですが、社会において化学の重要性を認識してもらうためにより多くの企業が自社をアピールする場面があっても良いのではないでしょうか。