ケムステをいつもご覧になっている方であれば、もうお馴染みですが、今年もCASが主催する2020 CAS Future Leaders プログラムの参加募集が開始されました。
このプログラムではオハイオ州にあるCAS等の見学に加え、ACS Fall meeting 2020(@San Diego)に無料で招待(航空券、宿泊費、参加費等はすべてCAS持ち)されるだけでなく、支度金として1000$が支給され、ACS membership(3年)、SciFinder-nへのアクセス権(1年)まで貰えちゃいます。さらにC&ENにプロフィールが掲載され、CAS Future Leaders Alumni Communityに登録されます。
応募に必要なのは、①博士課程の学生かポスドクであること、②応募フォーム、③500-1000語のエッセイ、④履歴書、⑤指導教官等の推薦状だけです。今年はプログラム参加が決まってからでもACS Fall meeting 2020での発表申込みが出来るよう応募スケジュールが前倒しとなり、募集期間が2019年12月2日から2020年1月26日になっています。
昨年は九大の佐々木 光一さんが参加され、プログラム様子はこちらのインタビューからご覧いただけます。ケムステでは佐々木さんに選ばれるカギとなる「エッセイを書く際に気をつけた点」と、実際に参加して「どのような準備が必要であったか」についてお伺いしました。佐々木さんのコメントにもあるように、日本の応募者は極めて少なく、CAS側は日本から多くの応募を期待しているようなので、佐々木さんや過去参加者のエッセイの書き方を参考にして、ぜひ応募してください!!!
どうやってエッセイを書けばいいのか?
Q.エッセイ(英語)を書く際に心がけた点は何でしょうか?
(佐々木さん) エッセイの基本的構成を守ることと、タイトルと内容に関しては良い意味で目立つものにすることを心がけました。構成の重要性に関しては、過去に参加された先輩方も記事で強調されていて、ノウハウも述べられていたので参考にさせていただき、大変助けられました。私の場合でもう少し具体的に述べさせて頂きますと、一つの段落ごとに一つの主張が明確に伝わるよう心がけ、それらの主張が一つのストーリーとして繋がるように気を配りました。 内容に関しましては、私の場合、研究ツールの未来像を議論した部分が目立つ上で少し役に立ったのかな、と思っています。今年の他の受賞者の中には、化合物の構造式を入れてみたり、QRコードを入れてみたりといった工夫を凝らした方々もいたようで、結構何でもありなのかもしれません。
Q .どのようなエッセイを書かれたのか教えて頂けないでしょうか?
(佐々木さん) 今年の題材は、“自身の研究内容と目標”、“SciFinder をはじめとする情報をどのように研究に役立てているか”、の2点でした。私の書いたエッセイは、SciFinderなどのツールにより私が研究遂行上どのように助けられ、成長してきたかについて具体例を述べ、それらエピソードを根拠に研究補助ツールの未来像について意見を述べるものでした。構成としては、要約→具体的研究内容も交えたエピソード (全5段落)→想像する未来像 (1段落)→結論でした。
どんな準備が必要?
Q.もう一度参加するなら準備したいこと・ものはありますか?
(佐々木さん) やはり、英語で高度な議論についていくには苦労しました。人柄の優れた参加者とCASスタッフに恵まれたおかげで、所々助けてもらいながら何とか乗り切れました。一方で、持参物や現地での服装に関しては、事前に詳細な情報をプログラム担当のPeter が提供してくれたので全く不自由しませんでした。
Q.実際に参加してみて、参加前の想像と違っていたことはありますか?
(佐々木さん) 想像以上に他の参加者と仲良くなれたことに驚いています。念の為述べておきますと、私は決して積極的な方ではないのですが、人格の優れた参加者に恵まれたこと、一緒に行動する時間が多く盛り込んであることに助けられました。また、メンバーの多様性が非常に高かったので、話題に事欠かなかったのも幸いしたと思います。
この記事を読んで「参加しようかな」と思っているケムステ読者にメッセージをお願いします。
(佐々木さん) 素晴らしい友人を世界中に作ることのできる貴重な機会なので、ぜひ挑戦してみて下さい!海外の企業や研究機関で働いてみたい、という人には特にオススメです。参加者づてに貴重な情報やチャンスが得られると思います。加えて、研究に没頭しているだけでは中々磨き難いスキルを伸ばす機会にもなると思います。あともう一つ、プロの方にフォーマルな写真を撮って貰う機会があったのはラッキーでした (今年からでしょうか?)。色々な場面で活用できると思います。
研究者人口からすると、日本の応募者数は極めて少ないようです (Peterにも、もっと宣伝してくれ!と言われてしまいました)。プログラムの性質上、研究分野、国といったあらゆる多様性を考慮した人選がなされるようなので、きっと多くの人にチャンスがあると思います! 応募すること自体も、参加することも、自分自身に変化をもたらす非常に良いきっかけになるはずです。
最後に
(佐々木さん) CASの皆様、一緒に素晴らしい時間を過ごした2019年度参加者の皆様、常日頃ご指導いただき、今回快く推薦状を書いてくださった片山佳樹教授に心より感謝申し上げます。また、研究生活を送るにあたり支えて頂いている全ての皆様にも、この場をお借りして感謝申し上げます。
申し込みは1月26日まで
いかがでしょうか?参加すると世界各国から集まった優秀な若手研究者たちと、貴重な体験が出来ることは間違いありません!今年から締切が2020年1月26日までと申込期間が早まっています。(プログラムに参加が決定した後でも、ACS Fall meeting 2020での発表申込みが間合います。)まだ2か月近くあるので、今すぐエッセイを書いて応募しましょう!! 申込はこちら!
最後に大変お忙しい中コメント頂きました、佐々木 光一さんにこの場を借りて御礼申し上げます。