2020年卒の大学三年生と修士一年生の志望業界のトップは「医薬品・医療関連・化粧品」(18.5%)。2位は「水産・食品」(17.7%)、3位は「素材・化学」(17.2%)、4位は「調査・コンサルタント」(16.8%)、5位は「情報・インターネットサービス」(16.7%)ということが判明した。(ITmedia12月5日)
人材サービスのディスコでは学生の就活に関して調査を毎年行っていますが、これから本格的に就活を始める2020年卒の学生に関する調査結果が最近発表されました。この手のレポートはよくメディアで見かけるため、業界の順位は調査結果によって異なりますが、このディスコの調査では、大学三年生と理系の修士一年生が対象で文系男子 412 人、文系女子 333 人、理系男子 300 人、理系女子 162 人からインターネットで回答を得たそうです。業界の線引きに関して化学に関連する業界は、1、素材・化学 2、水産・食品 3、医薬品・医療関連・化粧品 4,エネルギーと分類しているため、化粧品、医薬品、石油化学メーカーは素材・化学には分類されないルールでの調査です。
結果、素材・化学を志望する学生は、理系男子では2位、理系女子では3位、文系男子では13位、文系女子ではランク外となり総合では3位という結果になりました。前年の調査では、理系男子では5位、理系女子では3位、文系男子では14位、文系女子では同率20位となり総合では9位であったので、全体的に見てランクが上昇しているといえそうです。他の業界と比べると、文系では銀行・保険が大きく志望割合を下げていますが、これは銀行がAIなどの活用によって人が少なくなるとの報道が影響したと考えられます。理系男子では、情報系が若干減少し、化学と電子・電機が上昇していて、まさにソフトとハードの人気が逆転したようです。理系女子は、上位3業界で100%を超えているという現象は前年と変わりませんが、化学は若干、志望する割合が増加しています。
化学企業で働いている者としては、多くの学生が化学業界を志望する学生が増えていることは喜ばしいことであり、それは各企業の宣伝効果や就職担当者の努力の結果だと思います。技術開発の視点から見れば、エレクトロニクスや電気自動車といった最先端の分野にも化学技術の発展が寄与する部分があり、産業全体を陰ながら支えているのは化学企業だと思います。
化学企業といえど化学者だけでは成り立たず、多種多様な専門分野の人が協力することで良い製品を世の中に送り出すことができます。そのため化学が専門でなくても化学企業で活躍できるので、文系理系を問わず志望してほしいと個人的には思います。また、銀行のようなAIの発展による大きな人材の変化は化学企業では無いと信じていますが、新しいテクノロジーによって仕事が大きく変わる可能性があり、化学が専門といえど他の分野にも果敢にチャレンジできるような人材が必要なのではないでしょうか。
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