地球上で最も引っ張りに強く、熱伝導も良く、電気伝導度も高いという夢の素材、「グラフェン(graphene)」。原子1個分の厚みで鋼鉄の200倍も強いこのシート状物質を使った世界初のシューズが、7月12日から販売開始する。(GIZMODE6月28日)
イギリスのシューズメーカー「inov-8」が、アウトソールのゴム部分にグラフェンを使ったスポーツシューズを販売します。プレスリリースによると、このシューズはイギリスのマンチェスター大学国立グラフェン研究所との共同研究によって開発されました。研究リーダーのAravind Vijayaraghavan博士によると、従来のシューズと比べて50%強く、弾力があり、さらには堅いということです。公式HPの背景にはグラフェンの構造式が描かれていてますが、末端はカルボキシル基で修飾されていて、ところどころ酸素による架橋構造もあります。このグラフェンが実際のシューズに使われているかどうか分かりませんが、この修飾によりゴムとの親和性を良くしているのか、この修飾により弾力性などのパフォーマンスを上げていると考えられます。
2010年にグラフェンの開発でアンドレ・ガイム博士とコンスタンチン・ノボセロフ博士がノーベル物理学賞を受賞した後、マンチェスター大学では300人以上の研究者を動員してアプリケーションを探索してきました。その中で、実用化できた一例がこのシューズだとしています。自動車や半導体以外の身の回りのものに最先端の材料を使うことは、コストパフォーマンスを考えると大変難しいことであり、大変興味深い成果だと思います。このシューズは日本でも販売され、用途に合わせて三種類の商品があり、値段は19000円からとなっています。
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