1回飲むだけの新たなインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」が5月にも発売される見通しになった。ウイルスの増殖を直接抑える、これまでになかったタイプ。塩野義製薬が開発した。従来の薬にウイルスが耐性を持ち、効きにくくなった人にも効果が期待される(引用:朝日新聞2018年2月2日)。
ついに、今春には登場するといわれている塩野義製薬の新規インフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」(バロキサビルマルボキシル)。巷では、「強そう」「ドラクエの呪文みたい」と話題となっているようですが、構造はトップ図にある通り。
こんな複雑な構造をしていたんですね。分子量も500以上で、リピンスキーの法則を超えた、ギリギリ中分子医薬の枠組みに入るのでしょうか。化合物ライブラリーからの発見、その後メディシナルケミストが構造変換を行いこの構造にに行き着いたと思うのですが、あっぱれです。久々に興奮しました。ぜひ、リード化合物からの創薬の経緯を聞いてみたいものです。
作用機序はこれまで知られていた、リレンザ、タミフル、ラピアクタ、イナビルなどの「ノイラミニダーゼ阻害薬」(細胞内で増殖したウイルスが細胞外に広がるのを抑える)と異なり、ウイルスの増殖を直接抑えるもの。さらに、タミフルと同様に経口でいけるのだからすごい。塩野義製薬は、ラピアクタ(ペラミビル)をもっていますが、注射(静脈注射、筋肉注射、点滴)投与。
今回の治療薬は経口投与・短期間で治る・作用機序が全く異なる
という点で、かなり期待できるものになると思います。今年もインフルエンザが大流行したのを考えると、ブロックバスター(1000億以上)になるのは時間の問題ですね。次に貴方がインフルエンザになったときに処方されるのはこの薬かもしれません。
追記:2018年3月14日
なんと、前倒しして3月14日から発売になったとのこと。今季のインフルエンザ流行に間に合わせるため緊急的に前倒しされ、スピード販売。
薬価は20ミリグラム錠が約2400円。年齢や体重によって飲む量は異なるが、体重が40キロ以上80キロ未満の成人なら、原則として1回2錠服用する。