[スポンサーリンク]

ケムステニュース

フランスの著名ブロガー、クリーム泡立器の事故で死亡

[スポンサーリンク]

フランスの著名ブロガー、レベッカ・ビュルジェールさんが泡状クリームを作るのに使う「エスプーマ」と呼ばれる調理機器の事故で死亡したことが、このほど明らかになった。(6月22日BBCニュース)

 

亜酸化窒素の応用例として、エスプーマを紹介しましたが、このエスプーマが使用中に爆発し、レベッカ・ビュルジェールさんの胸部を直撃したそうです。爆発の原因は、機器の上部がプラスチック製になっており圧力に弱くなっていたため圧力に耐えられなかったと考えられています。

レベッカさんの家族が公開した器具の写真。銀色のカートリッジが亜酸化窒素が充填されたボンベ

日本でもエスプーマは使われていますが、一部の報道では日本では小型カートリッジが使えず、ガスボンベを使用しなくてはならないため安全と主張しています。しかし、これは少し事実と反すると筆者は考えます。なぜなら、爆発したのはカートリッジではなくエスプーマ本体でありガスの容器は関係ないからです。正確にはガスボンベ対応のエスプーマは、接続する部品が金属製で作りがカートリッジ型に比べて頑丈に作られているようです。また、ガスボンベでは圧力調整器によって圧力を調整して使うため、圧力が一定にかかるため、より安全であるといえます。このように、日本で亜酸化窒素のガスボンベが使えるエスプーマは小型カートリッジの製品よりも安全な構造になっているといえます。

エスプーマのパーツ。重要な保安部品であるガスジョイントには耐用回数が明記されている。

日本では、亜酸化窒素を使った小型カートリッジはありませんが、二酸化炭素を充填した小型カートリッジは販売されていて、食品や美容用途で多く使われています。日本炭酸瓦斯株式会社で製造・販売している小型カートリッジは、高圧ガス保安協会の認定を受けた製品で安全だと言えますが、輸入品の場合は、品質は不明です。またカートリッジは安全でも、ガスを使用する機器に問題があると爆発事故が起きる可能性があるため、使用手順を守るのはもちろんのこと、信頼できる機器なのか使用する際に見極める必要があります。

[amazonjs asin=”B001UJCI6Y” locale=”JP” title=”日本炭酸瓦斯 10本入り ) エスプーマ、ソーダ サイフォン用 取替用 ソーダバルブ (日本炭酸ガス) ソーダカートリッジ”]

加圧されたガスは、周りの取り扱いを間違えると吹き飛ぶ可能性がある危険なもので、過去には古いボンベのガスを抜いている際にボンベが吹き飛んだ事故も起きています。そのため大きさや圧力に関わらず知識を持って扱う必要があると思います。

シリンダーが吹き飛ぶ実験の様子

関連書籍

[amazonjs asin=”4274220206″ locale=”JP” title=”2017-2018年版 高圧ガス製造保安責任者試験 乙種機械 攻略問題集”] [amazonjs asin=”4883180395″ locale=”JP” title=”高圧ガス販売店の自覚―法令や技術書が教えてくれない高圧ガス保安の心得”]

関連リンク

 

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. サイアメントの作ったドラマ「彼岸島」オープニングがすごい!
  2. 三菱化学グループも石化製品を値上げ、原油高で価格転嫁
  3. 富士フイルムのインフルエンザ治療薬、エボラ治療に
  4. 位相情報を含んだ波動関数の可視化に成功
  5. ハーバード大Whitesides教授がWelch Awardを受…
  6. 三共、第一製薬が統合へ 売上高9000億円規模
  7. トムソン:2008年ノーベル賞の有力候補者を発表
  8. 2010年化学10大ニュース【Part2】

注目情報

ピックアップ記事

  1. ヒストリオニコトキシン histrionicotoxin
  2. Scifinderが実験項情報閲覧可能に!
  3. 理系で研究職以外に進んだ人に話を聞いてみた
  4. チャオ=ジュン・リー Chao-Jun Li
  5. 研究内容を「ダンス」で表現するコンテスト Dance Your Ph.D.
  6. 光C-Hザンチル化を起点とするLate-Stage変換法
  7. 有機合成のための新触媒反応101
  8. ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)ジクロリド : Dichlorobis(acetonitrile)palladium(II)
  9. 化学産業を担う人々のための実践的研究開発と企業戦略
  10. ベーシック反応工学

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2017年6月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

そこのB2N3、不対電子いらない?

ヘテロ原子のみから成る環(完全ヘテロ原子環)のπ非局在型ラジカル種の合成が達成された。ジボラトリアゾ…

経済産業省ってどんなところ? ~製造産業局・素材産業課・革新素材室における研究開発専門職について~

我が国の化学産業を維持・発展させていくためには、様々なルール作りや投資配分を行政レベルから考え、実施…

第51回ケムステVシンポ「光化学最前線2025」を開催します!

こんにちは、Spectol21です! 年末ですが、来年2025年二発目のケムステVシンポ、その名…

ケムステV年末ライブ2024を開催します!

2024年も残り一週間を切りました! 年末といえば、そう、ケムステV年末ライブ2024!! …

世界初の金属反応剤の単離!高いE選択性を示すWeinrebアミド型Horner–Wadsworth–Emmons反応の開発

第636回のスポットライトリサーチは、東京理科大学 理学部第一部(椎名研究室)の村田貴嗣 助教と博士…

2024 CAS Future Leaders Program 参加者インタビュー ~世界中の同世代の化学者たちとかけがえのない繋がりを作りたいと思いませんか?~

CAS Future Leaders プログラムとは、アメリカ化学会 (the American C…

第50回Vシンポ「生物活性分子をデザインする潜在空間分子設計」を開催します!

第50回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!2020年コロナウイルスパンデミッ…

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP