埼玉県三芳町の事務用品通販会社「アスクル」の物流倉庫で2月に起きた火災で、焼けた物流倉庫が、危険物を保管する際に消防法が義務づけている市町村長の許可を受けていなかったことが関係者への取材で分かった。 (引用:毎日新聞4月8日)
アスクルの倉庫が火事になり大騒ぎになったことは、まだ記憶に新しいことです。その現場の検証が続いているようで、危険物の保管に問題があったようです。該当ニュース記事では、一般の人向けにわかりやすく書かれていますが、内容を察するに火災のあった倉庫は、消防法の定める危険物向けの倉庫ではないため、指定数量が0.2までの危険物しか保管できないにもかかわらず、0.2を超える量のエタノールなどを保管していて、火災の被害を大きくする要因になったかもしれないということのようです。
消防法は、日本で活動する化学者は絶対に知らなくてはならない法律で、特に指定数量は溶媒を取り扱う上で常に頭に入れておく必要があります。危険物の第四類に該当する引火性液体の指定数量は、引火点によって特殊引火物(50/L)、アルコール類(400/L)、第1から4石油類(200~6000/L)までに分類されています。多くの研究室は指定数量が0.2までしか危険物を保管することができず特殊引火物であるジエチルエーテルは10Lを持ち込むだけで、0.2となってしまいます。エタノールはアルコール類に分類されるため、80 L以上がアスクルの倉庫内に保管されていたと推測されます。
指定数量の種類別値
4月は、研究室に新入生が入ってくる時期で、しっかりと遵守すべき法令も教える必要があります。いちいち溶媒庫に取りに行くのが面倒だからといって研究室に指定数量以上の保管していると、火事になった時に被害を大きし、責任を問われる可能性があります。
なお、アスクルの事故では指定数量の問題だけでなく、防火シャッターの不具合など防火設備の問題もあったようです。いずれにしても、研究室の防災に関してアスクルの火災から学ぶべきことはあるようです。
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