先日、米国の博士研究員の最低賃金変更についてお伝えしました。
トランプ政権では、専門職に就くために渡米する際に必要となる H-1B ビザの必要最低賃金も引き上げるようです。
ドナルド・トランプ次期大統領に正式に政権が移るまであと数日ですが、政策については既にいくつか明らかになってきています。
その一つとして、H-1B ビザの必要最低賃金が引き上げられるかもしれないという記事がWall Street Journal に掲載されていました。(関連リンク 1)
A prominent Republican lawmaker is taking another shot at tightening U.S. rules for high-skilled worker visas ahead of Donald Trump’s inauguration as president later this month.
Rep. Darrell Issa, one of the highest-profile Republicans in Congress and a supporter of Mr. Trump, said Wednesday in a statement on his website that he is reintroducing a bill designed to “stop the outsourcing of American jobs” and ensure laws are not “abused to allow companies to outsource and hire cheap foreign labor from abroad.”
The proposed legislation would increase required salaries for positions granted under the H-1B scheme that replace American workers from $60,000 to $100,000 per year. Mr. Issa said (引用:Wall Street Journal 2017年1月6日).
この政策のメインのターゲットは、インドからの IT エンジニアと言われています。自国の雇用を確保するためには仕方ない政策とも考えられます。
ちなみにアメリカ、とりわけシリコンバレーでは IT エンジニアの給料がもともと高いため、年収 100,000 ドルというのは高すぎるということはなく普通の年収だそうです。
しかし、職種により給料は異なります。ケムステニュースを読んでいる方にとって最も関係があるのは、アメリカの大学へ留学すること、または、アメリカの企業に就職することではないでしょうか?
注意点
ポスドクとしてアメリカに留学する場合は J-1 ビザを取得する方が多いと思われるのであまり関係ありませんが、滞在延長に伴い J-1 ビザを H-1B ビザに切り替える際には注意が必要となります。特に Fellowship と給料を併用している方は、必要最低賃金の引き上げに伴い、受け入れ先の研究室に不足分の給料を支払ってもらう必要があります。(ちなみに、企業に勤めていてアメリカに転勤するという方は、L-1 または L-2 ビザだと思われるので関係ないと思います。各自でご確認ください。)
また、これまでは書類選考通過後に抽選方式でビザを発行していましたが、制度改革後は高給者から順にビザが発行されていくようです。(関連リンク 2)
アメリカの大学院に留学後に現地で就職する場合に関しても、ビザの取得について注意が必要になると思われます。
さらに、、、
学生やポスドクとして渡米する際に取得する J1 ビザですが、こちらも見直されるという情報が出ています。良くなるのか悪くなるのかわかりませんが、今後の情報に注目です。(関連リンク 3: 大統領選の際の記事なので、今後どうなるかは分かりません。)