[スポンサーリンク]

ケムステニュース

千葉大など「シナモンマスク」を商品化 インフル予防効果に期待

[スポンサーリンク]

千葉大学は24日、インフルエンザの予防効果があるとされるシナモンを使ったマスクの実用化に乗り出すと発表した。医薬品原料製造の常磐植物化学研究所(千葉県佐倉市、立崎仁社長)、三井化学ファイン(東京・中央、高橋賢作社長)と共同でマスクの安全性や使い勝手を検証。2017年中に商品化し、20年には年間100万枚の販売を目指す。 (引用:1月25日:日本経済新聞)

記事によると、シナモンから抽出したシンナムアルデヒドの粉末を中に詰めたマスクを研究グループは開発しました。シンナムアルデヒドを吸入すると、呼吸器官の細胞内においてインフルエンザウイルスの増殖過程を阻害するため予防効果があるそうです。シンナムアルデヒドは、融点が-8度なので常温で液体ですが、常磐植物化学研究所がそれを固体にする技術を持っているためマスクの中で固体で付加させることができたようです。

シンナムアルデヒドは合成の実験で取り扱ったことがありますが、私の嗅覚では杏仁豆腐の濃縮された匂いがします。食品添加物にも使用されていますが、経口よりも吸入の方がより高い予防効果を発揮することが発見されているため吸入できるマスクの開発に至ったようです。シンナムアルデヒドの試薬そのものは皮膚刺激性があり、うっかり手に付けると痛くなった気がしますので使用者が手を触れないような構造になっているかが気になるところです。

千葉大学では、臨床試験の参加者を募集しているようで、毎日8時間のマスク着用を4週間続け、毎日の体温や体調をモニターするそうです。

募集ポスター

日本ではとりあえずマスクを着用する人が増えていて、フリスクマスクなどの付加価値がついたマスクも登場しています。アイディア次第では、マスクと意外なものが新たな効果を生み出すかもしれません。

フリスクマスク

関連書籍

[amazonjs asin=”4915855295″ locale=”JP” title=”マスクと日本人”] [amazonjs asin=”4583107692″ locale=”JP” title=”マスク大百科―華麗なる覆面レスラーの世界”]

関連リンク

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 化学系プレプリントサーバー「ChemRxiv」のβ版が運用開始
  2. 第二回触媒科学国際シンポジウム
  3. 化学 2005年7月号
  4. エーザイ、医療用の処方を基にした去たん剤
  5. 化学企業のグローバル・トップ50が発表【2022年版】
  6. EU、玩具へのフタル酸エステル類の使用禁止
  7. 『分子標的』に期待
  8. 三菱化学の4‐6月期営業利益は前年比+16.1%

注目情報

ピックアップ記事

  1. ブラウザからの構造式検索で研究を加速しよう
  2. 2013年(第29回)日本国際賞 受賞記念講演会
  3. イオンのビリヤードで新しい物質を開発する
  4. 海外学会出張でeSIMを使ってみました
  5. ゼムラー・ウォルフ反応 Semmeler-Wolff Reaction
  6. 化学の成果で脚光を浴びた小・中・高校生たち
  7. 2012年の被引用特許件数トップ3は富士フイルム、三菱化学、積水化学
  8. カゴ型シルセスキオキサン「ヤヌスキューブ」の合成と構造決定
  9. SciFinder Future Leaders in Chemistry 2015に参加しよう!
  10. 第35回「金属錯体の分子間相互作用で切り拓く新しい光化学」長谷川美貴 教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2017年1月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

【スポットライトリサーチ】汎用金属粉を使ってアンモニアが合成できたはなし

Tshozoです。 今回はおなじみ、東京大学大学院 西林研究室からの研究成果紹介(第652回スポ…

第11回 野依フォーラム若手育成塾

野依フォーラム若手育成塾について野依フォーラム若手育成塾では、国際企業に通用するリーダー…

第12回慶應有機化学若手シンポジウム

概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大学理工学部・…

新たな有用活性天然物はどのように見つけてくるのか~新規抗真菌剤mandimycinの発見~

こんにちは!熊葛です.天然物は複雑な構造と有用な活性を有することから多くの化学者を魅了し,創薬に貢献…

創薬懇話会2025 in 大津

日時2025年6月19日(木)~6月20日(金)宿泊型セミナー会場ホテル…

理研の研究者が考える未来のバイオ技術とは?

bergです。昨今、環境問題や資源問題の関心の高まりから人工酵素や微生物を利用した化学合成やバイオテ…

水を含み湿度に応答するラメラ構造ポリマー材料の開発

第651回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院工学研究科(大内研究室)の堀池優貴 さんにお願い…

第57回有機金属若手の会 夏の学校

案内:今年度も、有機金属若手の会夏の学校を2泊3日の合宿形式で開催します。有機金…

高用量ビタミンB12がALSに治療効果を発揮する。しかし流通問題も。

2024年11月20日、エーザイ株式会社は、筋萎縮性側索硬化症用剤「ロゼバラミン…

第23回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー