YouTubeなどで日本刀に斬られたり、ライフルで撃たれたりしているiPhone 7ですが、酸への耐性を検証した動画によって酸には強いことが判明しました。(引用:ねとらぼ12月1日)
あたりまえじゃん
動画の中での手順を一つ一つ検証していくと、最初にstrem製のフルオロアンチモン酸をプラスチック製のボトルから取り出し、iPhoneの背面にかけています(動画3:25位まで)。確かにフルオロアンチモン酸は硫酸よりも2000京倍強い酸ですが、iPhone7の背面はアルミニウムベースの素材で作られているため、表面のみ反応し不働態を形成したと考えられます。気になる点は、フルオロアンチモン酸が固体になっている点で、使用したSTREM製のフルオロアンチモン酸は、60%の水溶液で液体のはずです。それが固体になっているということは、塩を形成してしまっている可能性があります。フルオロアンチモン酸はガラスを溶かすので、液体状態のフルオロアンチモン酸iPhone7の表面に加えたら実験の結果は変わったかもしれません。
次に過酸化水素(3:38位まで)を投入しています。アルミは、酸化剤と反応して不働態となる酸化アルミニウムを生成し内部のアルミとの反応を抑制します。つまりここでも内部に薬品が到達しないことは明らかです。最後に硫酸(4:11位まで)に五分間浸しています。iPhone7は防水機能がありますが、これはゴム製の防水パッキンが組み込まれていることを意味しています。確かに多くのゴムは硫酸に対して弱く適しませんが、硫酸とゴムが直ちに反応して五分でなくなることは考えにくく当然の結果だと言えます。
Appleはこれを広告にする必要があるとのコメントがありますが、同様の素材を使っているスマートフォンであれば結果は同じだと言え、特にiPhoneだからという特異性はないと私は思います。iPhoneは有名なスマホ故に様々な実験にさらされてきました。とても興味深い実験もいくつかありますが、この実験は化学者にとっては、ただの素材の反応性を確認しただけのことだといえます。もちろん、皆さんの大切なiPhoneに酸をかけるようなマネはしないでください。
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- フルオロアンチモン酸: wikipedia
- 「史上最強の酸」、合成さる:有機化学美術館による強酸についての解説記事