トムソン・ロイターのIP & Science事業がオネックス・コーポレーションとベアリング・プライベート・エクイティ・アジアに売却されることが先般発表されましたが、その手続きが本日、完了しました。当該事業はよく知られるブランドを数多く有し、その中にはWeb of Science™、Cortellis™、Thomson Innovation™、Derwent World Patents Index™、Thomson CompuMark™、MarkMonitor®、Thomson IP Manager™、 Techstreet™などが含まれています。
新しく独立する会社の名称はClarivate Analyticsで、世界中のお客さまへ信頼の置ける知見や分析を提供することでイノベーションを加速させる、という事業方針が社名に示されています(引用:トムソン・ロイタープレスリリース 2016年10月4日)。
ものすごいタイミングで、学術界にはかなりびっくりするニュースが舞い込んできました。毎年ノーベル賞が近づくと、「トムソン・ロイター引用栄誉賞」(近い将来ノーベル賞を受賞する可能性の高い研究者が選出する)を発表する、トムソン・ロイターのIP&Science事業がなんと売却され、今日から別会社になったとのこと。売却額はおよそ3800億円。この引用栄誉賞も名前が変わるかなくなっちゃうんですかね?
そもそも、学術関係の情報データベースなどを扱っていたトムソンISIとニュース通信社であるロイターが2008年に合併して作られたこの会社。その学術部門を売却とは…
もっと研究者に身近なものといえば、文献や引用情報を管理・分析する「Web of Science」も同社の製品です。研究者の個別のIDである「Researcher ID」を発行し、Web of Scienceの引用情報などを掲載している研究者の方も多いことでしょう。さらにいえば、良くも悪くも論文の1指標である「インパクトファクター」を提唱し、毎年公開しているのもこの会社。
ニュースによると売却後は、Clarivate Analyticsという新会社を設立し同事業を続けていくとのこと。
すでに、日本のトムソン・ロイターのウェブサイトにいくと、こんな表示が。
データで表してなんになるという方もいるかもしれませんが、科学関連のデータの取扱を容易にし、科学者の評価などに一役買ってきた有名企業の一部門が売却されるというなかなか気になるニュースでした。