米国政府は、2016年12月1日から最低賃金法の適用基準を変更し、最低給与保証額を47,476ドル(約484万円)に引上げることを決定しました。アメリカへの留学を希望している方は、要確認です。
文部科学省の調査では、短期の米国への派遣研究者は36923人で、中長期の米国への派遣研究者は 1221 人いるそうです(2014年度)。また、日本学術振興会の海外特別研究員は 433 人中 247 人(2015年度)がアメリカで研究員として研究を行っているそうです。アメリカ国内の大学で研究を行う場合、不法労働を防ぐために米国移民局からの指示で、派遣元の機関が発行する収入保障証明書が必要となります。この最低収入保障額は年々増加しており、2016年には 43,700 ドルになりました。アメリカの GDP が順調に伸びていること(と日本の GDP が下降していること)を考えるとこの増加は当然かもしれません。
なぜ最低給与保証額が引上げられることになったのか?
ポスドクの労働環境の現状はアメリカ国内でも問題になっているそうです。ポスドクの平均給与は45,000ドルですが、出身地域や予算の種類によって大きく異なり、中には労働省の定めた最低賃金を下回るものもあったそうです。そこで、ポスドクの最低賃金を改定するということが行われました。これを機に、ポスドクの労働環境が改善されると良いですね。
注意すべきこと
日本で助成金を得てアメリカに留学する場合、助成される額が最低賃金を上回っているかどうかを確認する必要があります。また、研究機関により定められた最低賃金が労働省の定めた最低賃金を上回る場合もあるため、事前によく確認すべきです。助成金の種類によっては併用や給料を受けれないものもあるため注意が必要です。留学先のボスともよく相談するのが良いと思います。
参照
- Science
- 大学研究力強化ネットワーク
- 本内容は、2016年9月23日の科学新聞の 1 面にも掲載されています。