英オックスフォード大学などの調査団は、アフリカのタンザニアにある東アフリカ地溝で「世界級」のヘリウムガス田が見つかったと発表した。専門家は、世界的な供給不足に陥っていた状況がこれで一変するかもしれないと指摘している。
空気より軽いヘリウムガスは、風船によく使われるほか、磁気共鳴画像装置(MRI)や原子力発電などにも利用される。しかしここ数年は供給が不足し、東京ディズニーランドがヘリウム風船の販売中止に追い込まれたこともあった。
タンザニアのヘリウム田は、英オックスフォード大学とダラム大学の研究チームがノルウェーのヘリウム開発会社ヘリウム・ワンと組んで実施した探査で発見した。
火山活動に伴う高熱のために太古の地中深い岩盤からヘリウムが放出され、より浅い場所に閉じ込められているという。
(中略)
ダラム大学のディビーナ・ダナバラン氏は「古代の地殻と現代の火山の間でヘリウムの放出と火山による希釈が『ちょうどいい』バランスを保っている場所を見つける作業を進めている」と説明。日本で今月開かれるゴールドシュミット地球化学国際会議でこの発表を行う。
ヘリウムの埋蔵量は、1カ所だけでも約540億立方フィート(約15億立方メートル)に達する可能性がある。これはMRIで約120万台分に相当する。
(後略)
CNN 2016.6.29より
最近はあまり耳にしなくなりましたが、以前よりヘリウムの需給バランスが危ないという話題をお伝えしてきました(こちらとこちら)。ヘリウムは空気中に無尽蔵とも言えるくらい存在はするのですが、いかんせん空気からの製造ではコストがかかります。というわけで、地中から(比較的)高濃度でヘリウムが湧いてくる場所から採取してくる必要があります。軽いし、化学反応の結果生成することもありませんので、なかなかそんな都合のいい採掘場所は見つかりません。
現在は米国、カタール、アルジェリア、英国、ロシアの6ヵ国しか採取できないレアガスとなっています。今回の発見で供給量が増えるといいですね。
発表場所が日本で行われている国際会議、その名もゴールドシュミット地球化学国際会議2016とは。正直そのような学会があることを存じませんでした。パシフィコ横浜で2016年6月26日から7月1日までの開催です。会議の要旨によると、最高濃度が10.6%にも達するとのことで、期待していいのでしょうか。発表者の中に企業関係者もいるようなので、ポジショントークでないことを祈ります。しかも、発見場所がアフリカというのがちょっと気がかりですね・・・
参考文献
Danabalan, D.; Gluyasu, J. G.; Macpherson, C. G.; Abraham-James, T.H.; Bluett, J. J.; Barry, P. H.; Ballentine, C. J. Goldschmidt Conference Abstracts 595 (2016).
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