警察などによりますと、19日午前11時半ごろ、つくばエクスプレスつくば駅の男性トイレに白い粉がまかれているのを清掃員が見つけました。この影響で、構内の一部の階段やエレベーターなどが2時間にわたって封鎖され、駅は一時、騒然となりました。警察の調査によって白い粉は毒物などの危険物ではないことが分かり安全が確認されました。さらに駅に戻ってきた男性の説明により、白い粉は入れ歯洗浄剤だったと判明しました。 (引用:テレ朝ニュース5月19日)
過去には、危険物がばらまかれた事件も発生していて、伊勢志摩サミットも近く、さらには5月15日から17日までG7茨城・つくば科学技術大臣会合も開かれていたので、警察は最新の注意を払って対応したといえます。
一方で持ち主の男性は立ち去る前に、自分で掃除するか少なくとも駅員に連絡すれば大事にはならなかったことが大いに予想されます。どんな化学品もラベルが付いたビンから一度出すと、使った人しかそれが何かわからなくなります。白い粉が何かは、見た目では誰もわかりません。そのため、使った人が責任をもって対応することが必要です。
5月の半ばに入り、大学の研究室では新入生が実験を始める頃だと思いますが、合成した物質や小分けした試薬の情報をビンにしっかりと明記することを強く教えるべきだと私は思います。
化学実験でもこの事件の教訓が活かされてきて、中身が不明な試薬瓶が研究室から出てくることは残念ながら良くあります(多くの場合は、卒業した先輩が残していったもの。)。その不明試薬を業者に依頼して廃棄する場合には、処理費用が通常よりも高く付きます。また自分たちで処理する場合には、本来必要ないかもしれない処理を時間をかけて慎重に行う必要があります。このような無駄な手間を省くために試薬の情報を明記して保存することが非常に重要です。
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