2015年11月18日、米ビジネスインサイダーによると、フランス・パリで連続テロ事件が起きたことを受け、過激派組織「イスラム国(ISIS)」と同名の米国の製薬会社が社名変更を検討している。19日付で国際在線が伝えた(2015年11月20日 livedoor news)。
これは何たる不運… 元凶となるイスラム国 ISISは Islamic State of Iraq and Syriaの略。対して、米国の製薬会社はISIS Pharmaceuticals(アイシスファーマシュティカルズ)。しかも、その辺の小さな企業でなく、バイオ製薬では大手の企業です。同社の名前の由来は、エジプトの女神Isis(イシス)から。神話に登場する比較的有名な女神ではありますが、いまでは誰もが「イスラム国」だと思いますよね。
同社のCEOは昨年、米CNBCの取材に対し、「われわれはISISという社名を25年使用してきた。社名は変更するつもりはなく、名称を変更するのは彼ら(テロ組織)だ」と述べていた。
この発言がまた悲しみを誘う…。ですが、そういう意味で話題になったものとして、まだまだ続きそうなので変更したほうが良い気がします。また、調べてみると他にもISISは結構使われてるんですね。有名な話ではトヨタの車ISISとか、その他、人工衛星、部品の規格や、ミュージシャンまで。詳細はこちら(ISIS-Wikidedia)
ところで、ISISといえば、ご存知の方はいるかもしれないですが、昔化学構造式描画ソフトウェアに「ISIS Draw」というものがありました。
1990年にはじめて公開されたソフトウェアで、当時(2000年前後)は10万円ほどかかるChemDrawに手が出なかったもので、学生ならば、申請後無料で使用することができるISISDrawを使ったものでした。機能的にもほぼChemDrawと同じで、結構使い勝手は良かったのです。
いまはどうなっているのか調べてみると、「BIOVIA Draw」という名前に変わって、いまだ健在でした。さらに調べてみると実はこのソフトウェア、なんと3度も名前を変更しているのです。
はじめは、MDL Information Systems社が開発していたのですが、2007年にSymyx Technologiesという会社に買収されました。Symyxは現在スクリプス研究所のPeter G. Schultzらが設立した会社です。その後、2010年にAccelrys(アクセルリス)がSymyxと合併し、「Accelrys Draw」と名前も代わりました。聞いたことあるひとはケムステ通。そうこの会社以前紹介したクラウド版の電子実験ノートを提供している会社です(記事:電子実験ノートもクラウドの時代? Accelrys Notebook )。これで終わりかとおもいきや、昨年、Accelrysが社名を変更し、BIOVIAになりました。そのため、ソフトウェアもBIOVIA Drawに… あまりにも名前を変えすぎて、もうわけがわかりませんね。
ただ、いまでも非商用、大学などで使う場合は、無料で手に入れることができるようです(申請はこちら)。ChemDrawのライセンスが無い、学部の学生などはぜひ使ってみてはいかがでしょうか。