ドイツのボンで開かれている国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は5日午後(日本時間5日夜)、「明治日本の産業革命遺産」(福岡など8県、23資産)の世界文化遺産への登録を、韓国も含む21委員国の全会一致で決定した。
8日に正式登録される。
「産業革命遺産」の審議は当初4日に予定されていたが、審議での発言内容などを巡り日韓の対立が続いたため、1日遅れで行われた。日韓は5日の審議直前に合意に達した。
(中略)
「産業革命遺産」は、薩摩、長州両藩などが幕末に手がけた反射炉をはじめ、明治後期の官営八幡製鉄所や三池炭鉱、三菱長崎造船所まで、西洋の技術を日本の伝統と融合させた日本の重工業発展の歴史をたどる。三菱長崎造船所の大型クレーンなど、これまでの日本の世界遺産にはない稼働中の資産もある。「軍艦島」として有名な端島炭坑も含まれる。
国内の世界文化遺産は15件目、自然遺産を含む世界遺産としては19件目となる。
国内では2013年に「富士山」(山梨、静岡県)、14年には「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)が世界文化遺産への登録が決定しており、3年連続の登録決定となる。
YOMIURI ONLINE 2015.7.6
一時はどうなることかとひやひやしましたが、無事に世界文化遺産に決定したようでなによりです。
今回は産業革命遺産ということで、明治期の我が国の産業を支えてきた様々な施設や遺跡が広範囲にわたって登録されることになります。構成資産としては、
- 山口県萩市:萩反射炉, 恵美須ヶ鼻造船所跡, 大板山たたら製鉄遺跡, 萩城下町, 松下村塾
- 鹿児島県鹿児島市:旧集成館, 寺山炭窯跡, 関吉の疎水溝
- 静岡県伊豆の国市:韮山反射炉
- 岩手県釜石市:橋野鉄鉱山・高炉跡
- 佐賀県佐賀市:三重津海軍所跡
- 長崎県長崎市:小菅修船場跡, 三菱長崎造船所第三船渠, 同ジャイアント・カンチレバークレーン, 同旧木型場, 同占勝閣, 端島炭坑, 高島炭坑, 旧グラバー住宅
- 福岡県大牟田市, 熊本県荒尾市, 宇城市:三池炭坑・三池港, 三角西(旧)港
- 福岡県北九州市, 中間市:官営八幡製鉄所, 遠賀川水源地ポンプ室
と盛りだくさんです。こうやって一緒にすることによって世界遺産としての価値を高めたのかもしれませんね。この中でも太字にしたものが化学に関係するようなところだと思います。萩反射炉、韮山反射炉は鉄の精錬を行うための設備で、大板山たたら製鉄、橋野鉄鉱山・高炉跡、官営八幡製鉄所も鉄を製造するための施設であり、いずれも”鉄”という産業革命においてもっとも重要な役割を演じた”元素”が関係しており、感慨深いものがあります。
世界遺産への登録を機に、訪問者も増えることでしょう。訪問の際はぜひ化学地球儀を参考にして下さいませ。
大板山たたら製鉄遺跡
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