住友化学は、カビの発生を2~3年程度防げる新しいプラスチックを開発した。これまでの製品は表面に塗った防カビ剤が水などで洗い流されてしまうと効果がなくなったが、均一に練り込んだ薬剤が徐々に表面にしみ出して効果が長持ちするよう工夫した。
新しい技術は、アフリカなどで販売しているマラリア対策用の防虫網「オリセットネット」に使っている技術を応用した。プラスチックの分子より粒が小さい薬剤が徐々にしみ出し、プラスチック表面の薬剤濃度が一定に保たれる仕組みだという(引用:朝日新聞 2015年7月4日)。
台所回りやお風呂など、プラスチック製品でもカビはついてしまうもの。防カビ剤ではなく、プラスチックに入れてしまうというのが面白い試みですね。上述のように、マラリア対策用のオリセットネットを応用。長期残効蚊帳(LLIN)と称され、住友化学の”薬剤練り込み型”とスイスのベスターガード社がつくる”表面付着型”(パーマネット)があります。いずれもマラリアを媒介する蚊を寄せ付けづらくする優れもの。2000年には普及率が5%程度であったものが、現在は80%を超えているそうです。
ところでオリセットネットはペルメトリン(Permethrin)というピレスロイド系の薬剤がねりこんであります。住友化学が特異とするシクロプロパン環をもつ殺虫剤ですね。
このネットに使われている薬剤もいろいろ言われているようですが、農薬の悪いイメージはいつ払拭されるのでしょうか。すべてが善というわけでもなく、批判は大変重要だと思いますが、これも過去の過ちと、科学リテラシーの欠如が引き起こしている弊害の1つです。
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