鋳造 化学大手の2014年4-9月期決算が出揃った。汎用石油化学や基礎化学品の苦戦は続いているものの、構造改革の実行や円安効果によって収益力は着実に改善してきた。加えて各社が戦略的に強化してきた高機能製品の収益貢献も明るい材料である。ただ汎用化学事業を取り巻く環境は楽観は許されず、期待する高機能事業では課題が浮かび上がっている。事業構造改革の手を緩めず、世界を視野に競争力のある事業構築に挑戦してもらいたい。
化学企業の業績に影を落としてきたのは汎用石化製品や基礎化学品。三菱化学・鹿島のエチレン1系列の生産休止に続いて、住友化学・千葉、旭化成ケミカルズ・水島のエチレン設備停止も具体化している。これにともなってポリオレフィンなどの誘導品設備は需要に応じて縮小しつつある。国内市場の縮小と中国の能力増強の影響を受けたCPLやPTAなど基礎化学品のリストラも進んでいる。
これらの対策によってAN、MMA、フェノールなどの需給はタイト化、市況も上昇しつつある。ただ、エチレンや基礎化学品の構造改革は途上で、アジア需要や競合企業の投資動向を見極めて、さらなる設備縮小を覚悟せざるを得ないだろう(引用:化学工業日報)。
化学大手の決算について昔はこのケムステニュースで報告していましたが、久々です。リニューアルを機に今後も時折紹介していきたいと思います。さて、そもそも化学大手とはどこなのか?昔からは化学大手5社(三菱化学、住友化学、三井化学、宇部興産、昭和電工の5つ時々東ソーに代わる)、化学大手7社(三菱化学、住友化学、旭化成、三井化学、東ソー、宇部興産、昭和電工の7つ。時折信越化学も入る)となります。特に正確な定義はないので、会社の規模で良いと思います。イメージからすると三菱ケミカル、住友化学、旭化成、三井化学、東ソーなのですが…と書いているうちにWikipediaには最近はそれらを指すと記載されていました。
化学大手決算ピックアップ
さて、下の表を見てもらえればわかるように、今期は前年の同期比と比較して5社は軒並み上昇しています。売上高に関してはほとんどの企業が売上を伸ばしているようです。昭和電工の純利益の低下は、出資先のベネズエラのアルミニウム製錬会社の業績不振による有価証券の評価損であるとのこと。アルミニウムといえば昭和電工は今月マレーシアにも鋳造工場を建設したらしいです。他社の純利益増加は円安による為替差益がもっとも大きい原因となります。住友化学は有機ELにかなり力をいれており、2015年に一般照明に参画することも目標としてます。三菱化学は機械向けの合成樹脂、タッチパネル向けのフィルムといった樹脂加工品の販売が好調。旭化成は石油化学がけん引して、上昇気味ですが、住宅事業関連の売上低迷により通期の純利益は若干減少。三井化学はいたって好調ですね。宇部興産の低迷はカプロラクタムや機能品・ファイン製品の市況低迷が主な原因とされています。
(出典:化学工業日報)