[スポンサーリンク]

ケムステニュース

富士フイルムのインフルエンザ治療薬、エボラ治療に

[スポンサーリンク]

米政府が、富士フイルムホールディングスのインフルエンザ治療薬「ファビピラビル」をエボラ出血熱の治療薬として用いる検討に入ったことが7日、分かった。米食品医薬品局(FDA)が富士フイルムと臨床試験に向けた協議を始めた。西アフリカ諸国での感染拡大を受け、治療薬の早期承認・投与を目指す。

 ファビピラビルは富士フイルム傘下の富山化学工業が開発し、日本ではインフルエンザ治療薬として承認済み。米国でも同じ目的で治験の最終段階にある。

米ブルームバーグ通信は7日、米国防総省報道官の話として、ファビピラビルをエボラ熱に感染したサルに投与し、9月中旬には暫定的なデータが得られる見通しと報じた。富士フイルムも8日朝(日本時間)、「FDAと協議して、臨床試験に向けた準備を進めている」と表明した(引用:2014年8月7日, 時事通信)。

 

様々な国に飛び火しているエボラ出血熱。有効な薬はほとんどないと思われていましたが、インフルエンザ治療薬ファビピラビル(関連記事:富山化学 新規メカニズムの抗インフルエンザ薬を承認申請)が有効である可能性が。有名なタミフルやペラミビルとは異なった作用機序を有する日本発のインフルエンザ治療薬が不治の病を解決する薬となるか…結果を待ちましょう。

 

関連文献

“Successful treatment of advanced Ebola virus infection with T-705 (favipiravir) in a small animal model”

Oestereich L.; Lüdtke A.; Wurr S.; Rieger T.; Muñoz-Fontela C.; Günther S. Antiviral Res. 2014, 105,17-21. DOI: 10.1016/j.antiviral.2014.02.014

Outbreaks of Ebola hemorrhagic fever in sub-Saharan Africa are associated with case fatality rates of up to 90%. Currently, neither a vaccine nor an effective antiviral treatment is available for use in humans. Here, we evaluated the efficacy of the pyrazinecarboxamide derivative T-705 (favipiravir) against Zaire Ebola virus (EBOV) in vitro and in vivo. T-705 suppressed replication of Zaire EBOV in cell culture by 4 log units with an IC90 of 110 μM. Mice lacking the type I interferon receptor (IFNAR/) were used as in vivo model for Zaire EBOV-induced disease. Initiation of T-705 administration at day 6 post infection induced rapid virus clearance, reduced biochemical parameters of disease severity, and prevented a lethal outcome in 100% of the animals. The findings suggest that T-705 is a candidate for treatment of Ebola hemorrhagic fever

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 世界最高速で試料回転を行う固体NMRプローブを開発 -超微量の生…
  2. メガネが不要になる目薬「Nanodrops(ナノドロップス)」
  3. 和光純薬を富士フイルムが買収へ
  4. 5歳児の唾液でイグ・ノーベル化学賞=日本人、13年連続
  5. 花王の多彩な研究成果・研究支援が発表
  6. エーザイ 巨大市場、抗ガン剤開発でライバルに先行
  7. 資生堂、製品開発の可能性を大きく広げる新規乳化法開発に成功:プレ…
  8. 文字情報を構造式としてオリゴマーの混合物に埋め込み、LC-MSに…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 科学とは「未知への挑戦」–2019年度ロレアル-ユネスコ女性科学者日本奨励賞
  2. 農薬メーカの事業動向・戦略について調査結果を発表
  3. 位相情報を含んだ波動関数の可視化に成功
  4. アリルC(Sp3)-H結合の直接的ヘテロアリール化
  5. 防カビ効果、長持ちします 住友化学が新プラスチック
  6. アーノルド・レインゴールド Arnold L. Rheingold
  7. ハーバード大Whitesides教授がWelch Awardを受賞
  8. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑳ドッキングステーションの巻
  9. バートン・ザード ピロール合成 Barton-Zard Pyrrole Synthesis
  10. クレーンケ ピリジン合成 Kröhnke Pyridine Synthesis

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

硫黄と別れてもリンカーが束縛する!曲がったπ共役分子の構築

紫外光による脱硫反応を利用することで、本来は平面であるはずのペリレンビスイミド骨格を歪ませることに成…

有機合成化学協会誌2024年11月号:英文特集号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年11月号がオンライン公開されています。…

小型でも妥協なし!幅広い化合物をサチレーションフリーのELSDで検出

UV吸収のない化合物を精製する際、一定量でフラクションをすべて収集し、TLCで呈色試…

第48回ケムステVシンポ「ペプチド創薬のフロントランナーズ」を開催します!

いよいよ本年もあと僅かとなって参りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。冬…

3つのラジカルを自由自在!アルケンのアリール–アルキル化反応

アルケンの位置選択的なアリール–アルキル化反応が報告された。ラジカルソーティングを用いた三種類のラジ…

【日産化学 26卒/Zoomウェビナー配信!】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 キャリアマッチングLIVE

3日間で10領域の研究職社員がプレゼンテーション!日産化学の全研究領域を公開する、研…

ミトコンドリア内タンパク質を分解する標的タンパク質分解技術「mitoTPD」の開発

第 631 回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院 生命科学研究科 修士課程2…

永木愛一郎 Aiichiro Nagaki

永木愛一郎(1973年1月23日-)は、日本の化学者である。現在北海道大学大学院理学研究院化学部…

11/16(土)Zoom開催 【10:30~博士課程×女性のキャリア】 【14:00~富士フイルム・レゾナック 女子学生のためのセミナー】

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。11/16…

KISTEC教育講座『中間水コンセプトによるバイオ・医療材料開発』 ~水・生体環境下で優れた機能を発揮させるための材料・表面・デバイス設計~

 開講期間 令和6年12月10日(火)、11日(水)詳細・お申し込みはこちら2 コースの…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP