スズメバチ対策ばっちり 小樽の会社、防護服製造ピーク
スズメバチが巣作りなどで活動期を迎える中、小樽市奥沢のゴム長靴製造会社「ミツウマ」(小舘昭一社長)は、蜂用の防護服の製造に追われている。
1919年(大正8年)創業のミツウマは40年ほど前から防護服を製造。外部業者に製造委託したヘルメットや上下服、手袋などを隙間がないように組み立てる。蜂が防護服に取り付いて針を刺せないよう、ポリエステル製の生地表面を滑りやすく特殊加工する。
道内外の自治体や駆除業者向けに、年間約200着を出荷する。価格は1式で15万円。
夏、スズメバチの季節、いかがお過ごしでしょうか。
わたしは幸運にもスズメバチに刺されたことはないのですが、わたしが子どもの頃、父親とクワガタ取りに出掛けたとき、クヌギの木に止まっていた1匹に気づかず、近づきすぎたため2人で襲われかけたことがありました。そして、父がちょうど手に持っていた2メートルほどの棒切れをふりまわして、三塁打とおぼしきあたりのヒットをかまし、事なきを得た思い出があります。集団攻撃を恐れて、その場を速やかに退散しましたが、どうも父のカッコいい姿ベストスリーにあれは入るだろうというのが、わたしの雑感です。二度とごめんですが。
論文[1]より
閑話休題。
ハチのなかまのうち、オオスズメバチ(Vespa mandaria )はとりわけ巨大で気性も荒く、国内では例年50人以上が襲われて亡くなっています。世界でも指折りの危険昆虫です。
ひとたび怒らせてしまうとスズメバチは本能のままに襲いかかってきます。このとき、放出される揮発成分が警報フェロモンです。この匂いをスズメバチがかぐと、怒りのスイッチが入ってしまうわけです。近くに仲間がいれば、怒り倍増、集団で襲ってきます。
警報フェロモンの実態はというと、主たる成分は2-ペンタノール(2-pentanol)と判明しています[1]。とても単純な構造のアルコールです。
このペンタノール単独でもスズメバチをいわゆる激おこぷんぷん丸状態にできるのですが、ここに追加で3-メチル-1-ブタノール(3-methyl-1-butanol)と3-メチルブタン酸-1-メチルブチル(1-methylbutyl 3-methylbutanoate)が混ざっていると、さらに怒りのスイッチが入りやすくなります[1]。ええっと、ものすごく怒っている場合の形容は、ムカ着火ファイヤーでしたっけ、カムチャッカインフェルノオォォゥでしたっけ。
株式会社ミツウマ製の防護服の生地は厚手のポリエステルでできており、摩擦を減らしハチを取りつきにくくするテフロン加工が表面にほどこされているとのことです。防護服もなく、素人でのスズメバチ退治は危険なので、駆除が必要な巣を見つけた場合は地方自治体への問い合わせ含め、安全を確保しなるべく慎重に対応しましょう。
- 参考論文
[1] "Components of giant hornet alarm pheromone." Masato Ono et al. Nature 2003 DOI: 10.1038/424637a