塩野義製薬は17日、米国で提訴していた高脂血症治療薬「クレストール」の特許侵害を巡る訴訟の控訴審で勝訴したと発表した。米後発薬メーカーのマイランなど7社と争っていたもので、今回の判決により7社は2016年7月までクレストールの後発薬を販売できないという。
クレストールは塩野義の主力製品。マイランなどが米食品医薬品局(FDA)に同薬剤の後発品を申請したため、塩野義と、同社が販売権を譲り 渡した英医薬品大手、アストラゼネカが特許保護のために提訴していた。一審のデラウェア連邦地裁では特許有効の判決が出たが、これを不服とするマイランなどが米国連邦巡回裁判所に控訴していた。
CRESTOR ® (rosuvastatin calcium)は2011年世界売上79億ドルの超大型医薬品ですが、(その知財保護の脇が甘いと考えた?)米後発品メーカー8社が特許期間中の後発薬発売申請を行いました。それに対抗して、塩野義と導出先であるアストラゼネカは特許保護のために、米国内でのクレストール後発薬製造・販売を中止するよう求めて提訴を行い、2010年6月に一審で勝訴しておりました。更に今回の控訴審判決により2016年7月まで保護されることが確定しました。
クレストールは、医薬品世界売上1位のリピトール(atorvastatin calcium hydrate) と同じくスタチン製剤と呼ばれる高脂血症治療薬です。リピトールが後発品の登場により売上を下げる一方で、クレストールは2008年16位、09年10位、10年9位、11年5位と順調に売上を延ばしてきております。
今回のニュースにより後発品発売のリスクは遠ざかったのですが、同クラスの薬剤であるリピトール後発品とのシェア争いの激化が予想されます。どうなるか注目です。
外部リンク
- 日々の雑記帳(2010/09/02):特許裁判 高コレステロール血症治療薬と後発薬
- 薬作り職人のブログ(2011/09/05):クレストール対リピトール。