29日午後2時半ごろ、兵庫県姫路市網干区にある化学製品メーカーの工場、「日本触媒姫路製造所」で、アクリル酸という化学物質を貯蔵するタンクが爆発し、火災が発生しました。
消防によりますと、30分ほど前に工場から煙が出ているという通報を受けて、消防隊員が現場に到着し、消火活動を始めようとしたところ、突然爆発が起きたということです。最初に容量が60立方メートルのアクリル酸のタンクが爆発したあと、近くにあった別のアクリル酸のタンクとトルエンのタンクも相次いで爆発したということです。
日本触媒によりますと、アクリル酸のタンクはステンレス製で、29日午後1時すぎにタンクの温度が異常に上昇しているのを確認したということです。現場の工場では今も消火活動が続いていて、消防によりますと火を消し止められる見通しは立っていないということです。爆発当時の状況について、日本触媒は消防が駆けつけてタンクに放水していたところ爆発したと説明していて、消防の発表と食い違っています。(引用:NHK)
東ソーや
三井化学の事故があったばかりなのにまた死亡事故が起きてしまいました。
日本触媒は、様々な原料を製造している化学メーカーで、代表的な製品は様々な有機化合物の中間体となる
酸化エチレンやおむつなどに使われる
吸水性ポリマーです。また、社名にある通り、環境浄化の触媒なども製造しているように触媒開発にも力を入れている会社です。
アクリル酸は、最も簡単な不飽和カルボン酸で、架橋させることで吸水性ポリマーとなります。一方、
トルエンは、有機溶媒としてよく使われるものです。どちらも特に不安定な物質ではなく、高濃度でなければ人体への影響もないので近隣への影響は無いと考えられますが、会社と消防の状況説明が食い違っているため爆発原因が気になります。また、同社の主力製品で、化学産業において重要な中間体である酸化エチレンの供給が滞らないか心配です。
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