2011年度、国内製薬大手各社の第2四半期決算が発表されました。長引く円高で各社苦戦を強いられる中、アステラスは増収増益を確保し、通期見通しを上方修正しています。一方エーザイは、主力のアリセプトが予想を上回るスピードで後発品の餌食となり減収減益、通期見通し下方修正と苦しい状況になっています。それでは各社の決算状況の概要を見ていきましょう。
- 武田薬品 減収減益
売上高前期比1.6%減の7025億円。営業利益4.8%減の2110億円。純利益5.9%減の1356億円で減収減益となった。円高の影響をもろに受けての減収減益だ。主力のアクトスは12.6%減の1710億円。特に日本では後発品の参入により2割売り上げを落としている。タケプロンも米国での後発品の影響が大きく17.1%1減の623億円だった。9月30日にはスイスの製薬会社ナイコメッド社の買収を完了した。その買収額96億ユーロ(1.05兆円, 1ユーロ=110円)はニュースにもなった。主力のアクトス特許満了に備え早めの一手を打った格好だ。これにより通期の売上見通しを1.45兆円から1.54兆円に上方修正した。利益面については買収費用の計上により下方修正している。
- アステラス 増収増益
売上高前期比4.8%増の4839億円。営業利益22.2%増の829億円。純利益17%増の513億円で増収増益となった。主力のプログラフ、ハルナールの後発品による影響が一巡した。プログラフが2.1%減の799億円。ハルナールは4.5%減の319億円。特に国内事業の順調な推移が際立った。主力のベシケアも予想を上回る状況で通期見通しを上方修正している。
- 第一三共 減収減益
売上高前期比8.6%減の4560億円。営業利益31%減の621億円。純利益29%減の370億円で減収減益となった。欧米クラビット後発品発売、円高、ランバクシー社の売り上げ減が影響した。ランバクシー社単体の売り上げは20.6%減の782億円。クラビットは22.2%減の264億円。主力のオルメテックはグローバルで1.8%増の1238億円を売り上げた。国内ではメマリーやネキシウムといった新製品を新発売した。それぞれ39億円、26億円。また、国内一般医薬品事業はロキソニンの好調がけん引し6.7%増の224億円。新製品群の伸長に期待がかかる。
- エーザイ 減収減益
売上高前期比19.7%減の3310億円。営業利益24.9%減の504億円。純利益16.6%減の333億円で減収減益となった。米国アリセプトが後発品の影響をもろに受け、前年同期比93%減の73億円と約1000億円が飛んだ。国内アリセプトは13%増の576億円と好調を維持するが、日本でも11年度後半から後発品が参入してくる。12年度には薬価改定により1~2割薬価が下げられることが予想されている。日米欧で販売を開始した新薬ハラヴェンの売り上げは62億円。アリセプトの売り上げ激減が予想以上だったためか、通期見通しを下方修正した。