[スポンサーリンク]

ケムステニュース

世界初!うつ病が客観的に診断可能に!?

[スポンサーリンク]

 

広島大の山脇成人教授(精神神経医科学)らの研究グループがうつ病の診断に、脳細胞を活性化するたんぱく質の遺伝子の働き具合を指標とする新しい方法を開発した。    採血から2日後にほぼ確実に診断できるという。うつ病の診断は、医師の臨床所見による主観的判断で行われているが、客観的な診断が期待できるという。31日付の科学誌プロスワン電子版で発表する。

山脇教授らによると、このたんぱく質は記憶や神経細胞の発達に必要な「脳由来神経栄養因子(BDNF)」で、うつ病患者の血液中には相対的に少ないことに着目した。   中程度のうつ病で、59~30歳の男女計20人の血液を採取し、BDNFを作り出す遺伝子の働きを調べた。その結果、遺伝子が働き出す初期の部分をみると、20人全員の血液で、ほとんど機能していないことを確認した。山脇教授は「症状の早期発見や投薬治療の効果を調べる指標としても役立つ」と話す(引用:読売新聞)。

 

これってホントだったらスゴイと思ったんで、クリップ。論文はこちら。いまや日本人でも3人に1人はうつ病の症状を持つといわれています。貴方のの周りにも、いやそういう貴方も過去も含めたらいるのではないでしょうか。そいうった場合は、病院にいって心療内科や精神科受診によりうつ病と判断されるわけですが、なんとも指標がないのは科学者としたらいまいち納得がいかないところでもあります。もしかかってしまった人にとっても実際に指標があるならば、病気ですからしっかりと治さなければなりません。

そんなうつ病の指標を客観的に判断できるツールがあったらそれはすばらしいですね。どうやらそんなツールができた可能性があるということなんです。

 

 

記事にも書いてありますが、うつ病には脳由来神経栄養因子(BDNF)というものが関係してあるということ。BNDF遺伝子内ではなんらかの影響で「メチル化」が起きているらしいのですが、末梢血から抽出したDNAを対象にBDNF遺伝子のメチル化されたものを確認するとうつ病患者にだけ特有のパターンが見つかったそうです。

過度のストレスが異常なメチル化を引き起こした可能性があると考ているらしいのです。実際臨床でうつ病と判断されたものだけをこの検査で抽出できたということ。この「メチル化」で判断できたらすばらしいですね。今後の研究やまわりの追試状況により正確な判断材料としてみなされたら本当に大発見であると思います。ただし、その”確実な”判断によって実際にうつ病っぽいひとがうまく検出されず、ひどくなってしまう可能性もあります。心の病、難しいので絶対視はできないと思います。当面なりかけや様々な種類のうつ病も網羅して正確に判断できるのかという点が鍵ですね。

 

外部リンク

 

関連動画

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 旭硝子が新中期計画、液晶・PDPガラス基板事業に注力
  2. トムソン:2005年ノーベル賞の有力候補者を発表
  3. アステラス製薬、抗うつ剤の社会不安障害での効能・効果取得
  4. 存命化学者達のハーシュ指数ランキングが発表
  5. 日本化学界の英文誌 科学分野 ウェッブ公開の世界最速実現
  6. 2011年ロレアル・ユネスコ女性科学者 日本奨励賞発表
  7. 混ぜるだけで簡単に作製でき、傷が素早く自己修復する透明防曇皮膜
  8. 「物質と材料のふしぎ」4/17&21はNIMS一般公開

注目情報

ピックアップ記事

  1. 【書評】スキルアップ有機化学 しっかり身につく基礎の基礎
  2. ICMSE International Conference on Molecular Systems Engineering
  3. 300分の1を狙い撃つ~カチオン性ロジウム触媒による高選択的[2+2+2]付加環化反応の開発
  4. 分極したBe–Be結合で広がるベリリウムの化学
  5. 洗浄ブラシを30種類試してみた
  6. 食品添加物はなぜ嫌われるのか: 食品情報を「正しく」読み解くリテラシー
  7. Evonikとはどんな会社?
  8. キラルアミンを一度に判別!高分子認識能を有するPd錯体
  9. 最後に残ったストリゴラクトン
  10. セス・B・ハーゾン Seth B. Herzon

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年9月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

第57回若手ペプチド夏の勉強会

日時2025年8月3日(日)~8月5日(火) 合宿型勉強会会場三…

人工光合成の方法で有機合成反応を実現

第653回のスポットライトリサーチは、名古屋大学 学際統合物質科学研究機構 野依特別研究室 (斎藤研…

乙卯研究所 2025年度下期 研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

次世代の二次元物質 遷移金属ダイカルコゲナイド

ムーアの法則の限界と二次元半導体現代の半導体デバイス産業では、作製時の低コスト化や動作速度向上、…

日本化学連合シンポジウム 「海」- 化学はどこに向かうのか –

日本化学連合では、継続性のあるシリーズ型のシンポジウムの開催を企画していくことに…

【スポットライトリサーチ】汎用金属粉を使ってアンモニアが合成できたはなし

Tshozoです。 今回はおなじみ、東京大学大学院 西林研究室からの研究成果紹介(第652回スポ…

第11回 野依フォーラム若手育成塾

野依フォーラム若手育成塾について野依フォーラム若手育成塾では、国際企業に通用するリーダー…

第12回慶應有機化学若手シンポジウム

概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大学理工学部・…

新たな有用活性天然物はどのように見つけてくるのか~新規抗真菌剤mandimycinの発見~

こんにちは!熊葛です.天然物は複雑な構造と有用な活性を有することから多くの化学者を魅了し,創薬に貢献…

創薬懇話会2025 in 大津

日時2025年6月19日(木)~6月20日(金)宿泊型セミナー会場ホテル…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー