芝 哲夫氏(しば・てつお=大阪大名誉教授・有機化学)28日午前9時15分、肺炎のため大阪府吹田市の病院で死去、86歳。大阪市出身。葬儀は近親者で済ませた。喪主は長男岳志(たけし)氏。(引用:時事ドットコム)
芝先生がお亡くなりになりました。ペプチド研究の権威であり、大阪大学定年後は日本化学史研究を精力的に行ってきました。非常に残念なことです。
芝先生は日本の有機化学の祖である真島利行の弟子、小竹無二雄(阪大)の元で研究を行い、その後、同じく真島の弟子である金子武夫(阪大)の元で助手となり、そのまま研究室を引き継いでペプチド合成研究、細胞壁アジュバンド活性本体の解明などを行いました。その研究は研究室を引き継いだ、楠本正一(現サントリー有機科学研究所所長)に引き継がれました。
大阪大学定年後は、日本化学史の編集を精力的に行い、様々な後世に残せる良書を執筆されました。特に著作の一つである「日本の化学の開拓者たち 芝哲夫著 裳華房 2006」をお勧めします。研究室の歴史、化学の歴史、研究の潮流を懐古しながら調べ編集する事は、後世に伝える意味でも重要ですが、分野の研究の流れを整理する、開拓者達の心を感じ、研究に活力を得る事ができるという意味でも非常に重要なことだと思います。歴史から得られる教育です。
オンラインでも1つ、「わが研究室の源流をたどる:芝研究室(大阪大学)の源流」というタイトルで月刊化学の2004年12月号に研究室の歴史を寄稿されています。是非ご覧ください。
定年後も、そのようなすばらしい活動に精力を注がれた芝先生は研究者としても教育者としてもすばらしい先生であったといえるのではないでしょうか。ご冥福をお祈り致します。
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