細胞の働きや、化学反応の仕組みを原子レベルで観察できる夢の光「X線自由電子レーザー」(XFEL)の施設が兵庫県上郡町にほぼ完成し、17日、報道機関に公開された。世界有数の性能を誇る大型放射光施設「スプリング8」より、10億倍強い光が出せる。基礎科学だけでなく、新薬や電池の開発などに役立つという。10月に試運転を始める。
XFELはX線とレーザーの優れたところを併せ持つ光。施設はスプリング8に隣接し、長さ約700メートル。理化学研究所などが2006年から約400億円かけて建設した。次世代スパコンや高速増殖炉と同じ「国家基幹技術」と位置づけられている(引用:朝日新聞;写真:X線自由電子レーザー計画合同推進本部)。
XFEL施設は現在アメリカとヨーロッパ、日本で国際的な開発競争が繰り広げられています。アメリカではスタンフォード線形加速器センター (SLAC)がカリフォルニアに既に開発済み、ヨーロッパはドイツ電子シンクロトロン(DESY)が中心になり同国のハンブルグ市で建設が始まり、2014年の利用を目標としています。
そんな中日本のXFELは何が違うか?答えは日本の十八番技術である
コンパクトで安価しかし、高性能
ということに話は尽きます。
具体的には
1. 大きさは0.7mでヨーロッパやアメリカのものと比較すると半分以下。
2. コストは約400億円!高いように思えますが、ヨーロッパは約1500億円、アメリカは約800億円。これも半分以下。
3. 性能(発振波長)は0.06nmとヨーロッパの0.085nm、アメリカの0.15nmに比べて短い
というわけです。【参考資料:新しい科学技術を創る 新しい科学技術を創る 自由電子レーザー(PDFファイル)】
素晴らしい施設ですね。この開発によって創薬、ナノテクなど様々な分野に多大な影響があると言われています。巨額の国家プロジェクトの結果はこれからです。しかし、昨年spring8が仕分け対象にされてたことから、うまくいけばよいアピールになると良いと思います。
この完成に伴いXFELを利用出来るSCSS(SPring-8 Compact SASE Source)加速器の利用課題の公募がはじまっています。こちら
どうやら1月から利用ができるようで、どのような利用によりどんな結果が得られるのか楽しみですね。