2010年前後にブロックバスターと呼ばれる10億ドル以上を売り上げる医薬品の特許切れにより、研究開発費の激減が懸念されている製薬業界(2010年問題)。その中でもファイザー社のリピトールと呼ばれるいわゆる”コレステロールを減らすお薬”として現代にフィットし、これだけで2009年114億ドルの売上げをたたきだしています。この値段、日本の製薬企業のトップ武田薬品工業全体の売上げに匹敵する”お薬の化け物“です。そんなリピトールも2011年に特許切れを迎えるため、新たな医薬品の上市が期待されていますが、そんな中、1週間ほど前にファイザー社の研究開発部門トップのMartin Mackay氏がそのような話とは逆に、これから特にアルツハイマーや癌治療薬の「黄金世代が訪れる」と語っていました。
昨年680億ドルで買収したWyth(ワイス)が最低でも10億ドル以上売り上げる医薬品を9個持っています。さらにそれらをカウントせずにも神経成長因子を標的とする新規のバイオ医薬品注射薬tanezumabなどを含め、今年から数年内に発売予定のアルツハイマーや癌治療薬に非常に期待しているようです。
とはいっても、リピトールのような1つで会社の売上げ約1/5を閉めるような超大型医薬品は望めず、多種多様な分野の大型医薬品を多数導入して、さらなる売上げ増加をめざすということです。昨年の終わりから現在にかけて、ファイザーはフェーズIII(医薬品候補化合物の最終臨床試験)に26個の医薬品候補化合物を有しています。2007は8個であったのを考慮すると非常に多くの孵化寸前の医薬品の卵をかかえていることになります。
それでもワイスとの合併後前従業員の約15%、2万人の削減を発表しているファイザーですが、製薬業界No.1企業がこの数年後どのように変わっていくのでしょうか。
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