塩野義製薬は2009年11月4日インフルエンザ治療薬「ペラミビル」の日本での承認申請を行った。2009年7月17日に日本・韓国・台湾を中心としたアジア共同フェーズⅢ試験主要項目達成を発表をしてからわずか3ヶ月半のスピード申請となった。
本剤は、米バイオクリスト社が開発した抗インフルエンザ薬(残念ながら日本産ではない)でノイラミニダーゼ阻害作用によりその効果を発揮する。つまり、MOA(作用機序: mode of action)はタミフル・リレンザと同じである。
これを塩野義は2007年に日本での独占開発・販売権を取得した。契約一時金として1400万ドル(当時約16億円)と、開発の進捗に応じて総額2100万ドルを支払う約束をしている。さらに、販売後はマイルストーンや販売額に応じたロイヤリティーを最大9500万ドル支払う。
タミフル&リレンザに勝るのか!?
本剤はノイラミニダーゼに対する結合力が強く、解離しにくい特徴があるため、通常のインフルエンザの場合、1回の投与で治療効果を発揮する。A、B型インフルエンザに加え、H5N1型トリインフルエンザ、さらにタミフル&リレンザ耐性インフルエンザウイルスに対しても幅広い抗ウイルス活性を示す。
剤形が吉とでるか凶とでるか!?
ペラミビルは点滴静注剤である。 「薬局でお薬もらって、家で静注♪」というわけにはいかない。が一方で、重症化した患者、緊急を要する患者には適剤であるといえる。薬剤を直接血中に流すため経口に比べ効果が出るのは早い。寝たままでもOK。「病院でインフル判定を受けたら、そのまま点滴してもらって、お家に帰って寝る♪」というのも手だ。ただ、治るまで薬を飲み続けたい日本人としては、錠剤の方がいいか?効果の高い方が良いに決まっているが、そのはっきりした優位差は臨床の場で実際に使われていかないとわからないだろう。
さて、あなたなら経口カプセルのタミフル?粉末吸引のリレンザ?点滴一発のペラミビル?
ペラミビルは早くて2010年秋の承認・販売開始です。