[スポンサーリンク]

ケムステニュース

痛風薬「フェブキソスタット」の米国売上高が好発進

[スポンサーリンク]

febuxostat.gif

帝人が大型化を狙う痛風・高尿酸血症治療薬「フェブキソスタット」(米国製品名ウロリック)が、2009年度(1~12月)の米国売上高で約100億円を達成できる見通しとなった。ピーク時には米国で年間500億円の売上を見込んでおり、米国・欧州合わせて1000億円の大台突破に向け、順調な滑り出しを見せた格好だ。  フェブキソスタットは、医薬医療事業を手がける帝人ファーマが世界戦略品に位置づける痛風・高尿酸血症治療薬。米国では、導出先の武田薬品の子会社「TPNA」が今年から販売を開始しているが、1~12月の09年度売上高が約100億円に達する見通しとなった。同社は、フェブキソスタットを将来の成長ドライバーとして大型化を期待しており、ピーク時には米国市場単独で約500億円の売上達成を狙っている。(引用:薬事日報

 帝人ファーマの痛風治療薬フェブキソスタット(febuxostat)が売上げ好調のようです。世の中高脂血症や痛風、糖尿病などの贅沢病(一部は遺伝性で異なる)ばかりですね。ただし、この薬は日本初の非常に期待されている薬なのです。

 痛風、正確にいえば高尿酸血症を原因とした関節炎の治療薬といえばアロプリノール(Allopurinol)が有名で、プリン系とよばれるこの構造類縁体しかほとんどない状況でした。

Allopurinol.gif

このアルプリノールはキサンチンオキシダーゼを阻害するという作用を有していますが、最近、帝人ファーマの研究によりこのフェブキソスタットはプラセボ(偽物の薬)との比較で、有意でかつ用量依存的な血清尿酸値低下作用を示し、アロプリノール常用量との比較でも、有意に強い血清尿酸値低下作用を示すことが明らかとなりました。それは同様にキサンチンオキシダーゼを阻害しますが、さらにその構造はみての通り、全くアルプリノールとは異なる物でした。
mecha_febu.gif
その後、帝人ファーマでは医薬品として開発を進め、欧州と米国での承認を得て、満を持して去年発売された訳です。
米国と欧州って日本は?と聞きたいところですが、”いつも通り”いまだ承認されていません。どうやら”いつも通り”、米国などで承認されたから承認しようという考えのようです。もちろん過去に薬害問題が発生したため慎重になる気持ちはわかりますが、これは数少ない日本発の新薬であることを忘れてはいけません。日本でも近い将来発売されることになりますが、いいのやらわるいのやら。
  • 関連リンク
帝人ファーマ
痛風・高尿酸血症のポータルサイト|財団法人痛風研究会
Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 米FDA、塩野義の高脂血症薬で副作用警告
  2. 昭和電工、異種材接合技術を開発
  3. 有機超伝導候補が室温超高速光応答材料に変身
  4. カーボンナノチューブ量産技術を国際会議で発表へ
  5. 日宝化学、マイクロリアクターでオルソ酢酸メチル量産
  6. シンポジウム:ノーベル化学賞受賞の米教授招く--東北大、来月12…
  7. GoogleがVRラボを提供 / VRで化学の得点を競うシミュレ…
  8. 三菱化学の合弁計画、中国政府が認可・330億円投資へ

注目情報

ピックアップ記事

  1. HTML vs PDF ~化学者と電子書籍(ジャーナル)
  2. ベンザイン Benzyne
  3. あらゆる人工核酸へ光架橋性の付与を実現する新規化合物の開発
  4. 藤沢晃治 「分かりやすい○○」の技術 シリーズ
  5. さよならGoogleリーダー!そして次へ…
  6. 宇部興産、MCPTや京大と共同でスワン酸化反応を室温で反応させる技術を開発
  7. 第86回―「化学実験データのオープン化を目指す」Jean-Claude Bradley教授
  8. フェルナンド・アルベリシオ Fernando Albericio
  9. MSI.TOKYO「MULTUM-FAB」:TLC感覚でFAB-MS測定を!(1)
  10. ケムステイブニングミキサー2019ー報告

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年11月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

注目情報

最新記事

マイクロ波に少しでもご興味のある方へ まるっとマイクロ波セミナー 〜マイクロ波技術の基本からできることまで〜

プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーとして注目されている、電子レンジでおなじみの”マイクロ…

世界の技術進歩を支える四国化成の「独創力」

「独創力」を体現する四国化成の研究開発四国化成の開発部隊は、長年蓄積してきた有機…

四国化成ってどんな会社?

私たち四国化成ホールディングス株式会社は、企業理念「独創力」を掲げ、「有機合成技術」…

アザボリンはニ度異性化するっ!

1,2-アザボリンの光異性化により、ホウ素・窒素原子を含むベンズバレンの合成が達成された。本異性化は…

マティアス・クリストマン Mathias Christmann

マティアス・クリストマン(Mathias Christmann, 1972年10…

ケムステイブニングミキサー2025に参加しよう!

化学の研究者が1年に一度、一斉に集まる日本化学会春季年会。第105回となる今年は、3月26日(水…

有機合成化学協会誌2025年1月号:完全キャップ化メッセンジャーRNA・COVID-19経口治療薬・発光機能分子・感圧化学センサー・キュバンScaffold Editing

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年1月号がオンライン公開されています。…

配位子が酸化??触媒サイクルに参加!!

C(sp3)–Hヒドロキシ化に効果的に働く、ヘテロレプティックなルテニウム(II)触媒が報告された。…

精密質量計算の盲点:不正確なデータ提出を防ぐために

ご存じの通り、近年では化学の世界でもデータ駆動アプローチが重要視されています。高精度質量分析(HRM…

第71回「分子制御で楽しく固体化学を開拓する」林正太郎教授

第71回目の研究者インタビューです! 今回は第51回ケムステVシンポ「光化学最前線2025」の講演者…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP